ルギアってそんなに難しいの?
「いちげきルギア、格好いいから組みたいんだけど回し方がよくわからなくて…」
ジムバトルでよくそう声をかけられる。わかる、ほんとうによくわかる。この気持ち。デッキのパーツを揃えて、いざ対戦してみると手札が事故って何もできないまま2ターン目が終わる。そんな経験、私も何度したか。
いざ実戦に持ち込むと噛み合わない手札に悩まされることが多い。
でも、そこを乗り越えると話が変わる。
2ターン目に「アッセンブルスター」が炸裂した瞬間の快感は、他のデッキでなかなか味わえないものがある。ベンチにどーんとアーケオスが2体並んで、毎ターン特殊エネルギーが湧き出る。あの感覚は一度ハマると抜け出せない。
今回は、いちげきルギアVSTARの回し方を「初心者でも再現できるように」という視点で、実際の経験を交えながら丁寧に説明していく。
いちげきルギアVSTARの根幹にあるのは、たった1つのコンビネーション。
ルギアVSTARの特性「アッセンブルスター」 → トラッシュからアーケオス2体をベンチへ。
アーケオスの特性「プライマルターボ」 → 毎ターン山札から特殊エネルギー2枚を自分のポケモンに貼る。
これだけ。
アーケオスが2体並ぶと、毎ターン特殊エネルギーが合計4枚つけられる。アーケオスが場に2匹いると、毎ターン山札から合計4枚も特殊エネルギーをつけられる破格のエネ加速性能で、相手はこのエネルギーの嵐についていけなくなる。
「いちげきルギア」という名前がついているが、要は「いちげきポケモン」たちをアタッカーとして使うバージョンのルギアデッキだ。一撃ギミックの良さは非VながらポケモンVとトレード出来る強さ、《いちげきエネルギー》と《インパクトエネルギー》という特有のエネルギーの強さがある点にある。
デッキの核となるカード解説
ルギアV / ルギアVSTAR
ルギアV4枚は1ターン目に場に出したいカードなので4枚採用。ルギアVSTARは2ターン目に進化したいカードなので3枚採用が基本的な構成だ。
VSTARパワーの「アッセンブルスター」は1試合に1回しか使えない。これを2ターン目に使えるかどうかが、このデッキの勝敗に直結する。だから1ターン目の動きは、ほぼ「アーケオスをトラッシュに送ること」と「ルギアVを場に置くこと」に全振りしていい。
アーケオス
特性「プライマルターボ」でデッキが成り立っている。HPが150あるので、倒されにくいのも地味に助かる。
ただ、このアーケオスが山札に残っているとアッセンブルスターが使えない。トラッシュに送ることが大前提。好きなカードを2枚トラッシュできる「ハイパーボール」で山札から直接「アーケオス」を2体トラッシュし、「ルギアVSTAR」の特性〈アッセンブルスター〉でベンチに出すことができる。
「博士の研究」や「ゼイユ」などの手札をトラッシュするタイプのドローサポートと相性がいい理由がここにある。
いちげきエネルギー
1枚につき「いちげきポケモン」のワザのダメージが+20されつつ、「いちげきポケモン」についている限り悪と闘タイプのエネルギー1個分として働くため、「バンギラスV」、「イシヘンジン」のワザのエネルギーとして使うことができる。
このカードの強さは「汎用性」と「打点補強」の両立にある。単純に貼るだけでダメージが上がるうえ、複数枚貼れば積み上がっていく。バンギラスVのワザ「いちげきクラッシュ」を最大限活用したいなら、このエネルギーをいかに素早く集めるかが鍵になる。
バンギラスV
ワザ「いちげきクラッシュ」は「いちげきエネルギー」を2枚つけることで、280ダメージを出せる。主にVSTARポケモンを倒すためのポケモンで、VSTARが多い環境では頼もしいアタッカーだ。
ターン別の動き方:ここが「わかりそうでわからない」ポイント
1ターン目:「準備の全て」をここで終わらせる
1ターン目に何をするか、明確に決めておくと手が迷わない。
やること(優先順位順):
- ルギアVをバトル場かベンチに出す(できれば2体)
- アーケオスをトラッシュに2体送り込む
- 手札を整えてドローソースを回す
1ターン目の動きで優先したいのはルギアを出して2ターン目に絶対進化できるようにすること。出来ればルギアを2体出せると安全だが、先行であればまず倒されないので、ベンチにルギア1体+バトル場とベンチにチラーミィを置いておくのもありだ。
アーケオスを2体トラッシュするには、ハイパーボールかバーネット博士(レギュレーション次第)が必要。手札にそれらがなければ、博士の研究で思い切って手札ごとトラッシュしてアーケオスを引っ掛けにいく判断も必要になる。
ここで多くの初心者が詰まるのが「アーケオスを大切にしすぎてトラッシュしない」こと。山札の中にいる限りアッセンブルスターで出せないので、むしろ積極的に捨てていい。
2ターン目:「アッセンブルスター」を絶対に決める
このターンが最大のヤマ場。
ルギアVをVSTARに進化させ、アッセンブルスターを発動。トラッシュから2体のアーケオスがベンチに踊り出る。
ルギアVSTARデッキは、アーケオスの半永久的なエネ供給によって、様々なアタッカーを採用できるのが特徴のデッキ。ルギアのVSTARパワーでアーケオスを2体場に出すと、毎ターン4枚の特殊エネルギーをデッキから付けることができる。
この瞬間、場のポテンシャルが一気に跳ね上がる。ここでアーケオスが1体しかトラッシュにいなくてもアッセンブルスターは使えるが、2体いる状態に比べると加速速度が半分になる。
経験上、アーケオスが1体の状態でスタートした試合は勝率がぐっと落ちた。「1体でも何とかなる」と思いたい気持ちはわかるが、現実は厳しい。1ターン目の準備がいかに大事かが、ここに全部詰まっている。
中盤:エネルギー管理が「このデッキの醍醐味」
アーケオスが2体並んだら、あとはアタッカーを育てながら戦う。
ここで重要なのが「エネルギーの振り分け判断」だ。
エネルギーの数が多いとはいえ、不用意にポケモンに付けていくと最終的に足りなくなることがあるため注意。今このターンに最低限必要なエネルギーと次のターン必要なエネルギーを考えるのがポイントで、このデッキの難しいところだ。
具体的には:
- 今殴れるポケモンに必要最小限のエネを乗せる
- 次のアタッカー候補にも少し先乗せしておく
- ギフトエネルギーは「生き残らせたいポケモン」に優先的に
終盤:手札干渉で相手を詰ませる
終盤は手札干渉サポートを使いながら相手の要求をあげるのが基本の戦い方。ジャッジマンやツツジで相手の手を絞りながら、こちらはエネが十分にある状態を維持する。
エネルギーが底をつきそうになったら、ガチグマアカツキexの特性「ろうれんのわざ」を活用して、少ないエネルギーで高いダメージを出せるように対応するという選択肢も頭に入れておきたい。
サブアタッカーの使い分け:「一撃」の意味を理解する
イシヘンジン
非exで闘タイプのいちげきポケモン。アルセウスVSTARやミライドンexの弱点を突いて一撃で倒せる。
闘弱点のデッキが多い環境では、こいつ1枚がゲームをひっくり返すことがある。実際、シティリーグで闘弱点のアルセウスデッキと当たったとき、イシヘンジン1枚で2ターン連続サイドを取れた試合があった。完全に相手の想定外だったらしく、盤面がぐちゃぐちゃになった。
非exなのでサイドを1枚しか取られない点も優秀。打点とコストのバランスが見事にかみ合っている。
イベルタル
非exで悪タイプのいちげきポケモン。サーナイトexやミュウVMAXの弱点を突いて一撃で倒せる。ワザ「いちげきのつばさ」はイシヘンジンのワザ「ギガハンマー」と違いワザを連打できるので、長期戦でも使いやすい。
アーケオスを山に残した痛すぎる試合
ジムバトルで上位に入ることを目標にしていたある大会。1戦目から好調で、2ターン目にアッセンブルスターを決め、相手を圧倒していた。完全に「今日は行けそう」というムードが自分の中にあった。
問題は3戦目。手札にハイパーボールが来なくて、博士の研究もなく、手札を整えることを優先しながら回していたら——気づいたら山札にアーケオスが1体残っていた。
「トラッシュに1体でもいれば何とかなる」と自分に言い聞かせながら2ターン目を迎えたけど、アッセンブルスターで出せるのは当然1体。エネルギーの加速が毎ターン2枚しかつけられず、相手のドラパルトexにじわじわと削られてそのまま負けた。
あのゲームは、1ターン目に「ゼイユ」を使うべきだった。
「変幻の仮面」で登場したサポート「ゼイユ」はルギアデッキと相性がいい効果を持っており、先行1ターン目に使うことができ、手札のアーケオスを落としながらドローすることができる。
手札にアーケオスが2体あって、トラッシュにはゼロの状態だった。なのに「手札のアーケオスを大事にしよう」という謎の心理が働いて、捨てるのをためらってしまった。
これ、初心者あるあるだと思う。アーケオスは「手札に持っておくカード」じゃなく「トラッシュに送ることが目的のカード」。この意識の切り替えが、思ったよりも難しい。
「アッセンブルスター→バンギラスV280打点」で一気にゲームを決めた話
逆にうまくいった話もしておく。
地域のシティリーグで当たったのは、いわゆる「ドラパルトex」デッキ。序盤から展開が速く、フライゴンexも混ざっていて正直ヒヤヒヤしていた。
でも、1ターン目に博士の研究でアーケオスを2体トラッシュできていた。2ターン目にアッセンブルスターを決め、いちげきエネルギーを3枚バンギラスVに乗せた状態で「いちげきクラッシュ」280ダメージ。相手のドラパルトexをワンパン。
相手の顔が一瞬固まったのを今でも覚えている。
「えっ、もう280出てるの?」という空気が漂った。ここでサイドを2枚取れたのが効いて、最終的にサイドレースで押し切ることができた。
エネルギーの色的に少々扱いにくいが、《いちげきエネルギー》を採用した《バンギラスV》は打点ラインが280まで届くため非常に強力なのを、この試合で改めて実感した。
対策されたときの動き:苦手な相手との付き合い方
テツノイバラex(特性ロック)への対処
テツノイバラexの特性「イニシャライズ」によって、ルギアVSTARの特性「アッセンブルスター」が封じられてしまう。これによりアーケオスを場に出せず、弱点までつかれるため、相性は最悪だ。
対策としては「クレッフィ」や「ハバタクカミ」を採用して、相手の特性を先に止めることが有効。ただし、この対策を手厚くするとデッキの枠を圧迫するのが悩みどころで、そこはある程度割り切りも必要になる。
サーナイトexへの対応
サーナイトexのデッキには「サケブシッポ」が採用されていることが多く、ワザ「ほえさけぶ」によってベンチのアーケオスが簡単に倒されてしまい、相性が悪い。
ベンチ狙撃でアーケオスを狙われると、エネルギーエンジンが一気に機能不全に陥る。この対面では、アーケオスをできるだけ前に出さず、バトル場で攻めを続けながらアーケオスへのケアを忘れない判断が必要になる。
特殊エネルギーへの干渉
特殊エネルギーしか採用されていないため、「バンギラスV」や「イシヘンジン」のワザが使えなくなる可能性がある状況も存在する。クラッシュハンマーや「スペシャルころころ」などで特殊エネルギーを剥がしてくる相手には、エネルギーの貼り直しが発生してテンポを失う。
それでも、アーケオス2体が生きていれば毎ターン4枚補充できるので、1〜2枚剥がされたくらいでは崩れない。過度に怖がらず、淡々と加速を続けるのが正解だ。
デッキ構築の考え方:採用枚数の「なぜ」を知ると組みやすくなる
よく「4枚採用するカードと2〜3枚でいいカードの違いは?」という質問を受ける。
シンプルな基準は「そのカードが初手に欲しいか、途中で引ければいいか」。
- ルギアV:4枚(初手に必須)
- ルギアVSTAR:3枚(2ターン目に1枚あればいい、サイドに落ちるリスクをカバー)
- アーケオス:4枚(2体トラッシュが必要なので多めに積む)
- バンギラスV:2枚(アタッカーは複数体必要ないが、サイド落ちに備えて2枚)
- いちげきエネルギー:4枚(多いほど打点が上がるので最大枚数)
デッキコンセプトの《いちげきエネルギー》と《インパクトエネルギー》は4枚ずつ。《ルギアVSTAR》が最低限280ダメージを出せるよう《パワフル無色エネルギー》は3枚。《活力の壺》のおかげである程度エネルギー枚数を削っても運用できる。
活力の壺でエネルギーを山札に戻してリサイクルできる点は、終盤になってもエネルギーが切れにくい要因の一つ。これがない構築だと、後半で息切れしやすくなるので入れておきたい。
「いちげきルギア」と「白ルギア」の違い:どっちを選ぶべきか
「いちげきルギア」はアタッカーが悪・闘タイプのいちげきポケモン中心で、悪弱点はサーナイトexやミュウVMAX、闘弱点はアルセウスVSTARと環境デッキに強いタイプという特性がある。
一方「白ルギア(テツノカイナ型)」は、2024年のレギュレーション変更でいちげきポケモンが使えなくなったため、基本的に「白ルギア型」か「テツノカイナ型」が使用されるようになっており、環境によって使い分けが求められる。
要は「今の環境に悪弱点・闘弱点のデッキが多いかどうか」で選ぶのが基本的な考え方。環境読みが苦手な段階では、汎用性の高い白ルギアから入る方が扱いやすいかもしれない。
いちげきルギアはその環境への適応力の高さと、一撃で倒す爽快感が魅力。「狙い撃ちして気持ちよく勝ちたい」という人に向いているデッキだと思う。
プレイング上達のために意識したいこと
デッキの動かし方を覚えたあと、次のステップは「判断の精度を上げること」だ。
①「何をトラッシュするか」の優先順位を決めておく
博士の研究やゼイユを使うとき、何を捨てるか迷う場面が必ず来る。基本的な順番は「今使わないアーケオス→余ったエネルギー→サブアタッカー(状況次第)」。
②エネルギーの置き場所を毎ターン意識する
どのポケモンに何枚乗っているかを常に把握しておく。特にギフトエネルギーは「倒されると困るポケモン」に置くことで、相手の攻撃牽制にもなる。
③「アッセンブルスター」を使うタイミングを遅らせない
たまに「もう少し準備してから…」と思って2ターン目に使わない人がいるが、これは基本的にNG。使えるなら使う。アーケオスが場に出るほど選択肢が増えるのだから、早ければ早いほどいい。
いちげきルギアは「準備8割、実力2割」のデッキ
このデッキで勝てるかどうかの8割は「1ターン目の準備が整ったかどうか」で決まると感じている。
2ターン目にアッセンブルスターが決まれば、後は毎ターンエネルギーが降ってくるような感覚で戦える。逆に、ここで躓くと途端に苦しくなる。
難しそうに見えて、実は動き方はシンプル。でも、シンプルだからこそ細部の判断が勝敗を分ける。そこが面白いんだと思う。
格好いいルギアVSTARを使いこなして、ジムバトルで「あいつ、ちゃんと動いてる」と思われたら最高じゃないか。
練習あるのみ——とは言いたくないけど、実際のところ場数を踏むのが一番上達が早い。ぜひ一度、完全に動かした状態でのあの爽快感を味わってほしい。

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