リザードンexがずっと環境に残り続ける理由
ポケカをある程度やってきた人なら、こう感じたことがあるはずだ。「リザードンってまだいるの?」と。
登場から時間が経っても、シティリーグの上位に顔を出し続ける。環境が変わるたびにデッキの形を変えながら、それでも中心のリザードンexは変わらない。なぜそこまで息が長いのか。
答えはシンプルで、高いダメージを出せるワザ、330という高いHP、ワザを使うために必要なエネルギーを自身に付けられる特性を持つ2進化ポケモンという、ポケモンカードの基本的な強さを全部持っているからだ。2進化デッキなのに起動コストが低い。これが他の重量級デッキと根本的に違う点で、ここにリザードンexの強さの全てが詰まっている。
ただ、だからといって簡単に使いこなせるかというと、そうでもない。いかに上手に相手にサイドを取ってもらうかが課題であると同時に、サイドを取ってもらえなかったパターンも想定しておく必要もあるため何かと考えることが多い。見た目はシンプルでも、プレイの奥行きは相当深い。
デッキの根幹にある2枚のカード
特性れんごくしはいが全ての出発点
特性「れんごくしはい」は進化したときに山札から基本炎エネルギーを3枚まで自分のポケモンに好きなように付けられるため、進化してすぐにバーニングダークを使うことができる。
2進化デッキの最大の弱点は「進化するまでに時間がかかる」ことだが、リザードンexはその弱点を自ら埋めてしまう。ヒトカゲをベンチに置いておくだけでいい。ワザを出す前のターンまではヒトカゲの状態で置いておけばよいという手軽さは、リザードンexデッキの安定感の基盤となっている。
バーニングダークは逆転専用のワザではない
ワザ「バーニングダーク」は炎エネルギー2つという少ないエネルギーで180ダメージを与えることができるが、相手がとったサイドの枚数×30ダメージが増えるため最大330ダメージを与えることができる。
序盤の180ダメージは確かに物足りない。ポケモンVすら倒せないことがある。でも、これを弱点と捉えるのは間違いで、むしろ序盤に無理して殴らなくていい設計になっているとも読める。先行2ターン目から攻撃するメリットがないことも多く、最初の1〜2ターンをロトムVの「そくせきじゅうでん」やポッポの「なかまをよぶ」にあてて展開の準備をすることができる。序盤を丸々準備に使えるデッキ、と考えると気持ちが楽になる。
ターンごとの動き方
1ターン目にやるべきことの優先順位
まずヒトカゲをベンチに出す。できれば2体。そしてピジョットex型であればポッポも並べたい。この時点でバトル場に出すポケモンは、ロトムVやイキリンコexなど序盤専用の役割を持つカードが適している。
序盤はロトムVの特性「そくせきじゅうでん」を多用して手札、盤面を整え、数枚サイドを取られてからダメージの上がったワザ「バーニングダーク」で制圧していくように戦うのが基本的な流れだ。
2ターン目の目標
ふしぎなアメを使ってリザードンexへ一気に進化させる。先攻2ターン目にリザードンexに進化できれば基本炎エネルギーを3枚つけることができ、盤面を有利に展開することができる。
ただし、ふしぎなアメが手札に来ない場面は当然ある。その場合は無理に進化を急がず、引き続き展開の準備を続ける。ふしぎなアメだけでない進化ルートを確保しておくことが重要で、通常のリザードへの進化ラインも頭に入れておく必要がある。
中盤以降のゲームプラン
ここからが本番。相手がサイドを取るほどバーニングダークの打点が上がっていく。多くのデッキに採用されているナンジャモやツツジ、アンフェアスタンプといった手札干渉を受けてもすぐに手札を補充することができるのが、ピジョットex型の強みだ。
手札干渉を受けてもすぐに復帰できるということは、相手が干渉を打ちにくいタイミングを探り続けなければならなくなる。手札の枚数が限られた状態でHP330のリザードンを気絶させるのは容易ではないので、毎ターン「手札干渉+高耐久・高火力」という状況を押し付けることができる。
カースドボム型が長期間主流である理由
ヨマワルとカースドボムの役割
カースドボムはダメージを増やすほかにも相手のサイドの枚数を調整する目的でも使えるため、ヨマワルは基本的にどの対戦でもベンチに出しておくことをおすすめする。
自分から相手のサイドを進めるという動きは直感に反するが、バーニングダークの打点が跳ね上がる条件を自分でコントロールできるという意味では非常に合理的だ。相手がサイドを取ってくれなくても、ヨマワルで自分から条件を整えられる。
カースドボム+クレッフィ型は登場以来ずっと主流で、このコンボこそがリザードンの高いシェア率を支えている。環境が変わってもこの型が残り続けているのは、単純に他の型より安定して勝てるからに尽きる。
ヨマワルを守ることの大切さ
相手目線でもカースドボムは脅威であり、ヨマワルを優先的に狙ってくることが多い。そのため、ヒトカゲをきぜつさせられた場合やカースドボムで自らきぜつした場合は、すごいつりざおで山札に戻して再びベンチに出し直すことで相手に圧をかけるとよい。
ヨマワルが消えると戦略の中心を失う。すごいつりざおは炎エネルギーをリサイクルするためだけのカードではなく、ヨマワルを繰り返し使うための手段でもある。この認識があるかどうかで、中盤の立ち回りが大きく変わる。
デッキの型と選び方
ピジョット型
ピジョットexの進化さえできれば、特性「マッハサーチ」で好きなカードを持ってこられることで、デッキパワーを余すことなく発揮できるようになっている。毎ターン必要なカードを確実に供給できる安定感は、他の型にはない強みだ。
ただし、グッズロックには極端に弱い。グッズロックに弱い。相手がグッズロックを解除するまで何もできない、なんてことはザラにある。この対面を引いたときの対処法を頭に入れておかないと、何も動けないまま試合が終わる。
宝石型(ヨルノズク型)
ヨルノズクの特性「ほうせきさがし」はテラスタルのポケモンが場にいれば、山札からトレーナーズを2枚手札に加えられる非常に強力な特性で、テラパゴスexと組み合わせることで序盤からトレーナーズへアクセスしやすくなる。
さらに盤面を非ルールポケモンで固めやすく、最初にサイドを2枚取られることが少ない。タケルライコexなどのサイド2-2-2を最速で取りにくるアグロデッキには有利に戦えるという特性がある。たねexを主体とする速攻デッキへの対策として機能するのがこの型の最大の利点だ。
ACE SPECの選択がデッキの方向性を決める
リザードンデッキはACE SPEC次第でそのデッキの基本戦術を大きく変える。リザードンが他のデッキよりもより逆転を意識したデッキであることから、すなわち「どのACE SPECで逆転するか」という基礎概念に直結している。どのACE SPECも優秀で、何が入っているのか読み切れないところがリザードンの強みだと言える。
相手からすると、リザードンexデッキのACE SPECが何か読めないうちは動きを絞れない。これが対応力という言葉で語られることが多いが、実態は「相手の読みを外せる」という攻撃的な強みだ。
苦手な対面と対策の考え方
ドラパルトex
ドラパルト以外には強く、現状はドラパルト一点切りで済んでいるため、リザードンのシェア率が減る要因がない。ドラパルトのシェア率が10%だけを割り切る。不利対面が割り切った10%のみで済むのであれば、むしろリスクは最小限であるという考え方もある。
割り切りというのは諦めではない。不利対面を1つに限定して、それ以外に全力で勝ちに行くという合理的な判断だ。ドラパルトが環境の中で一定のシェアを超えてきた場合は、マシマシラ、コダック、ミストエネルギー、バトルコロシアムを採用してドラパルト対策を引き上げる方向に構築を調整する選択肢がある。
グッズロック系
ピジョット型の最大の弱点はここにある。スボミーなどでグッズを封じられると、ふしぎなアメを使えず進化が止まる。スボミーのグッズロック状況になることも十分に考えられる環境なので、ふしぎなアメだけでない進化ルートを確保しておくことが重要で、ポッポ→ピジョン→ピジョットexの通常進化ルートをきちんとデッキに入れておく必要がある。
実際に使って気づいたこと
このデッキで初めてシティリーグに出たとき、序盤に何をしていいかわからず焦ってリザードンexを早出しする失敗を繰り返した。バーニングダークで180しか出ない状態で殴り続け、相手のサイドが進まないまま逆にこちらのサイドだけが削られていく展開。あの試合の不思議な感覚は今でも覚えている。
何が間違っていたかというと、序盤は殴らなくていい、という割り切りができていなかった。リザードンexを出したら攻撃しなければならないという思い込みがあって、それがかえって動きを固くしていた。
実際のリザードンexの動かし方は逆で、ヒトカゲを静かにベンチに置いておきながら、ロトムVで手札を整えてピジョットexを育てる。相手がサイドを取り始めたところでリザードンexを進化させ、れんごくしはいでエネルギーを一気に乗せてバーニングダークを撃つ。この流れが完成したとき初めて、このデッキが「逆転するために設計されている」という意味が体感としてわかった。
強いポケモンを育てて戦うために必要な要素がリザードンexだけでほとんど完結しているため、2進化のポケモンを採用したデッキでありながら様々なカードを採用する余裕があり、制圧力と対応力の両方を兼ね備えたデッキだという評価は、実際に使い込んで初めて腑に落ちるものだと思う。
構築のポイント
エネルギーの枚数を絞れる理由
れんごくしはいで進化のたびに炎エネルギーを3枚山札から付けられるため、エネルギーの手張りに依存する頻度が他のデッキより低い。ただし、リザードンexの特性「れんごくしはい」は基本炎エネルギーが山札にあってこその特性なので、エネルギーの枚数を絞り目にしているならすごいつりざおは必須カードとなる。
トラッシュに落ちたエネルギーをすごいつりざおで山に戻す。これを怠ると、中盤以降にれんごくしはいで付けられるエネルギーが山に残っていないという状況が起こる。エネルギーを薄くする分、つりざおの枚数で補う設計になっている。
ピジョットexを安定して立てるために
リザードンexの進化ラインとふしぎなアメ以外は自由にカードを採用できるのがこのデッキの特徴で、その自由度を活かしてピジョットexへの進化ルートを固めることが安定感に直結する。
ポッポを序盤にどれだけ並べられるかが、2ターン目の盤面の厚みを決める。ヒトカゲとポッポを同時に並べる初動が作れると、その後のゲームの選択肢がぐっと広がる。
リザードンexを使いこなすために意識したい3つのこと
サイドを取られることへの恐怖をなくす。バーニングダークは相手がサイドを取ることで強くなるので、序盤に少し取られることはプラン通りだと割り切れるようになると、プレイ全体が落ち着く。
ヒトカゲを守ることに執着しすぎない。もちろん2体置ければ安全だが、1体が倒されても即負けにはならない。バトル場の犠牲と引き換えにピジョットexを育てる時間を稼ぐ選択が正解になることも多い。
カースドボムのタイミングを計算しておく。ヨマワルのカースドボムをいつ使うかは、その後のバーニングダークの打点に直接影響する。今使うべきか、もう1ターン待つべきか、この判断を毎ターン持っておくことが中盤以降の精度を上げる。
コントロールデッキではないが低速なカウンターデッキなので、環境デッキを見極めた構築が重要なデッキだという表現が、このデッキの本質をよく捉えている。相手の動きを見ながら、自分の逆転のタイミングを作り続ける。それがリザードンexを動かすということだ。

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