「全部まとめて倒す」という発想の異質さ
ポケカには2つの勝ち方がある。ひとつはサイドを6枚取り切ること。もうひとつは相手の山札を0枚にすること。
ルナアーラLOは、この2つの勝ち筋を絡めながら戦う、かなり独特なデッキだ。軸になるのは25thアニバーサリーコレクション収録の非エクルナアーラが持つワザ「ルナティックペイン」。
全員のダメカンを2倍!決まれば一網打尽の破壊力をもつ伝説デッキ。無色2エネで相手全員のダメカンを2倍にするルナティックペインが恐ろしい性能だ。
バラまきカードで相手の全ポケモンに少しずつダメカンを乗せておき、ルナティックペインを一発撃つ。すると場にいる全ポケモンのダメカンが2倍になり、複数体が同時に気絶する。上手くいけば1ターンでサイドを4〜6枚まとめて取れる。
この発想が普通のデッキとまったく違う。1体ずつ仕留めるのではなく、全員まとめて倒す。それが決まったときの爆発力は、他のデッキでなかなか味わえない。
ルナティックペインの正確な効果と理解すべき点
ワザ「ルナティックペイン」は無色エネルギー2つで使え、相手のポケモン全員に、それぞれのっているダメカンの数が2倍になるようにダメカンをのせる効果だ。
ルナティックペインはダメカンがのっているポケモンに対してのっているダメカンの数が2倍になるようにダメカンをのせる効果で、相手の場全体が対象なのも強く、ダメカンをのせる効果のためベンチバリアでも防ぐことができない。
ダメージを与えているのではなくダメカンを乗せる効果なので、ベンチバリアを持つミュウのような特性でも防げない。この点は重要で、相手がミュウを置いて守っていても突き抜けられる。
一方で注意点もある。ルナティックペインはワザのダメージではなく効果にあたるため、テキスト通りダメカンの数を2倍にすることができる。つまりダメカンが0のポケモンには何も起こらない。事前に全員に少しずつダメカンを乗せておくことが前提になる。
ロストゾーンとの組み合わせが生んだ「ロストルナアーラ」
ロストアビス環境でヤミラミが登場し、このデッキは大きく強化された。
ヤミラミの特性「ロストマイン」は、ロストゾーンにカードが10枚以上ある状態で使え、相手のポケモン2体に好きな数だけダメカンを分けて乗せる効果だ。バトル場だけでなくベンチにも自由にダメカンを振り分けられるため、ルナティックペインの前準備として極めて噛み合っている。
ロストルナアーラ(ルナティックペイン)/ヤミラミデッキという組み合わせが生まれ、ジムバトルや大会で結果を残し始めた。
ロストゾーンにカードを10枚貯めながら、その間にヤミラミでじわじわとダメカンを分散させていく。ある程度乗ったところでルナティックペインを撃つ。相手は自分の盤面が少しずつ削られていることに気づきながらも、止める手立てがない。その詰め将棋のような感覚がこのデッキの醍醐味だ。
LOという勝ち筋を組み込む理由
純粋なダメカン倍々デッキとしてだけ使うのではなく、LOも視野に入れる構成が取られる理由がある。
LOとはライブラリアウトの略で、相手の山札を0にして特殊勝利を狙うデッキのことをいう。山札がなくなりカードを引けなくなったプレイヤーは、サイドに関係なく負けになる。
ルナアーラは非エクなので、サイドを取られても1枚しか渡さない。相手のリソースを削りながら、こちらはダメージを受けつつも粘り続けることができる。相手がルナティックペインを警戒してHPを回復させようとサポートを引き込めば引き込むほど、山札は減っていく。
つまりこのデッキは「ルナティックペインで一気に勝つプランA」と「相手の山札を削り切るプランB」の2択を相手に突きつける構造になっている。プランAを警戒して慎重にプレイすれば山札が減り、プランBを警戒して動けばプランAが通りやすくなる。
ダメカンを撒く手段の選び方
ヤミラミ(ロストマイン)
ロストゾーンが10枚以上あるときに使え、ダメカンを2体に自由に振り分けられる。複数回使うほど盤面全体が削れていく。ルナティックペインとの相性は前述の通り抜群で、ロストルナアーラの主軸だ。
マタドガス(ぶっとびボム)
ホミカでマタドガスをトラッシュし、特性「ぶっとびボム」でダメカンを乗せてルナアーラのワザ「ルナティックペイン」で一気に攻撃を仕掛けるデッキが組まれた。他にもマタドガスの「とびちるヘドロ」は相手のダメカンがのっているポケモンにさらにダメージを乗せることができる。
ホミカというサポートでトラッシュしつつ特性を起動するコンボで、1ターンに複数体へダメカンを乗せられる。
クイックシューターインテレオン
道中の火力は主に裏工作インテレオンとソルガレオになる。ソルガレオは、インテレオンへのエネ供給としても優秀で、裏工作インテレオンをベンチにもダメカンを乗せられるため、ルナティックペインとも高相性だ。
裏工作インテレオンのクイックシューターで毎ターンベンチに20ダメカンを乗せながら、同時にデッキも回せる。ダメカン散布と手札補充を兼ねており、このデッキの安定感を支える役割を担う。
ターンごとの動き方
序盤は進化ラインの確保とロストゾーン構築を並行する
コスモッグをベンチに並べ、ふしぎなアメでルナアーラへの進化ルートを整える。同時にロストゾーンへカードを送る手段を動かし始める。
基本的には後攻が良い。最大の理由としてはメッソンの「どんどんよぶ」でメッソンを並べたいからだ。コスモッグ2体・メッソン3体以上の場が理想だ。
裏工作インテレオンを採用する構築では、この序盤の展開が後半の安定感に直結する。ジメレオン・インテレオンを並べながらコスモッグも育てるという、複数の進化ラインを同時進行させる序盤の動きが要求される。
中盤はダメカンを均等に散布しながらルナアーラを育てる
ヤミラミのロストマインやクイックシューターで相手の全ポケモンに少しずつダメカンを乗せていく。このとき意識したいのが「均等に配る」ことだ。1体に集中させてしまうとルナティックペインで倒せるのが1体だけになる。なるべく多くのポケモンに少量ずつ散らすことで、ルナティックペインの一発でまとめて倒せる状況を作る。
相手のベンチにダメカンが乗った状態のポケモンを溜め、最終的には相手の「デデンネGX」「クロバットV」「ゲノセクトV」などのエネが付いていないシステムポケモンをバトル場に呼び出す。その状態でルナティックペインを1〜2度使用することで相手のベンチポケモンを一掃し勝利につなげる。
終盤はルナティックペインを撃つタイミングを見極める
ルナアーラをバトル場に出したい場面が比較的多いので、入れ替えカードは余裕を持って手元に確保しておく。
撃つタイミングは「相手の全ポケモンのうち、最もHPが残っているものでも、現在乗っているダメカンを2倍にすれば倒せる」状態になったとき。その計算を毎ターン頭の中でしながら、ダメカンを積み上げていく。
実際に使って感じた失敗と気づき
このデッキを初めて握ったとき、相手の1体を早めに倒したくなる衝動に駆られた。HPが低いサポートポケモンが見えると、つい攻撃して倒してしまう。
これが間違いだった。
サポートポケモンを早めに倒すと、相手はそのサイドを使って山札を回し、さらに展開を整えてくる。こちらがダメカンを溜めて逆転を狙っている間に、相手はリソースを補充し続ける。倒すべきタイミングは「ルナティックペインで全員まとめて倒せる直前」であって、それまでは倒さない方がいい場面の方が多い。
ポケカで「倒せるのに倒さない選択」を意識的にするのは最初は不思議な感覚だったが、このデッキの場合はその判断が勝敗を分ける。
逆にうまくいった試合は、相手のシステムポケモン3体全員に10〜20ダメカンが乗った状態でルナティックペインを撃ち、まとめて倒せた場面だ。あの一瞬で相手の盤面が空になる感覚は、他のデッキでは絶対に味わえない。
苦手な対面と向き合い方
ロストゾーンが機能しない序盤の早い展開
ロストゾーンが10枚溜まる前は、ヤミラミが動けない。その間に相手が高速展開して大ダメージを出してくると、準備が間に合わなくなる。
相手のリソースが尽きるまでは相手もワザを使い続けられるため、相手のリソースを削ることと自分のリソースを守ることを並行して進める必要がある。序盤の時間稼ぎをいかに丁寧にできるかが、このデッキの序盤の核心だ。
回復カードを使ってくる相手
モミや回復系のサポートでルナティックペイン直前にダメカンを消されると、計算が崩れる。LOデッキはいかに相手にサイドをとられないように戦うかがポイントだ。何ターンか必要なため山札をトラッシュする試行回数を増やす必要がある。
回復で計画を崩されたときのプランBとして、山札を削るLO勝ちを常に頭に残しておくことが、このデッキの心理的な支えになる。
このデッキが教えてくれること
ルナアーラLOは、勝つまでに長い時間がかかることが多い。じわじわとダメカンを撒き、相手の山札を削り、最後の一手を狙う。その過程で相手の動きを読み、自分の盤面を守り続ける。
地味な作業の積み重ねが、ある瞬間に爆発する。ルナティックペインが炸裂したとき、場にいた複数体が同時に消える。それまでの丁寧なプレイが報われる瞬間だ。
派手さで言えば環境トップのアタッカーデッキの方が上かもしれない。でも、計算通りに動かせたときの達成感は、このデッキならではのものがある。

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