勝ち方を「選べる」デッキ
どのデッキも「強い動き」は一つある。でも大半のデッキはその動きを相手がわかっていても止めにくいか、あるいは止められると崩れやすいかのどちらかだ。
未来バレットは、ちょっと違う。
未来バレットはコンセプトとして、未来のミライドンでエネルギーを加速しつつ、環境にいるポケモンの弱点を突きながら勝つデッキだ。リザードンexデッキには草ポケモンのテツノイサハexを入れることで一撃で倒すことができたり、ルギアVSTARのデッキに対しては雷ポケモンのテツノカイナexを入れて弱点を付くことで、環境デッキを攻略していくことが可能だ。
要するに、「相手の弱点を突ける駒を揃えて、マッチアップによって使う武器を変える」構造になっている。麻雀で言えば、鳴いても上がれる柔軟な手を常に持っているようなイメージ。何を出されても「それ用の手がある」という状態を維持しながら戦える。
もっとも、そのため、サイドカードの枚数や相手ポケモンのHP管理など計算することが多く、環境で流行しているデッキやカードの知識が必要なため、ポケカ初心者にはおすすめできない。
難しいのは事実。ただ、使いこなせたときの満足感は格別だ。「これが刺さった」とわかる瞬間の気持ちよさは、他のデッキにはない独特のものがある。
デッキの骨格——ミライドンがエンジン役を担う
未来バレットを動かす軸は、「未来」カテゴリのたねポケモン・ミライドン(非ex)だ。
ミライドンのワザ「アクセルピーク」でベンチの未来ポケモンにお手軽にエネルギー加速ができて優秀だ。
アクセルピークは40ダメージを与えながら山札から基本エネルギーを2枚まで好きな未来ポケモンにつけられるワザだ。ダメージ自体は低い。でも「攻撃しながらエネ加速できる」という点が強力で、1ターン目からアクセルピークを打ち始めることで後続のアタッカーが翌ターンに即動ける状態を整えていく。
非エクだから倒されてもサイドは1枚。相手がミライドンを倒してくれるなら、それは実質「40ダメージを与えてエネルギーを2枚貼った行動でサイドを1枚しか与えていない」という計算になる。悪くないトレードだ。
ただし注意点がひとつ。アクセルピークでつけられるのは「基本エネルギー」だけ。特殊エネルギーは対象外だ。デッキに複数タイプのエネルギーを採用している関係上、どのポケモンにどのエネルギーを貼るかの判断を毎ターン求められる。
核心を担う4枚のポケモン
テツノカイナex——このデッキの「主砲」
メインアタッカーはテツノカイナexで、ワザ「ごっつあんプリファイ」を連打してサイドレースを有利に進める。
未来バレットとはテツノカイナexを主体に戦うデッキで、4回のワザ宣言でサイドを6枚取り切ることを目指す。相手の場にピジョットexやネオラントVがいるなら積極的に狙って3回のワザ宣言で最速勝利を目指す。
「4回で6枚」の計算式は、ごっつぁんプリファイが「相手を倒せれば通常のサイドにプラス1枚取れる」ワザだから成立する。非エクのポケモンを倒せばサイド2枚。相手のサポートポケモン(ネオラントVやピジョットex)を倒せれば3枚。これを連続して決めれば、理論上4ターンで試合を終わらせられる。
テツノカシラex——ごっつぁんプリファイを「化け物」にする強化役
このデッキでは特性「コバルトコマンド」をもったテツノカシラexを採用している。ワザ「あだうちやばね」をもったトドロクツキや、ワザ「げんせいらんだ」を持ったコライドンなどの非exの中でも比較的HPが高いポケモンを一撃で倒せる。テツノカシラexのおかげでVSTARポケモンや2進化exポケモンなどのHPが高い相手でも、ワザ「アームプレス」とワザ「ごっつぁんプリファイ」でサイドを3枚取れるプランも存在する。
「コバルトコマンド」は自分の場にいる限り、相手のポケモンに与えるダメージを加算してくれる特性で、テツノカイナexのごっつぁんプリファイの打点が120→+αに底上げされる。これによって倒せる相手の幅が広がり、高HPのポケモンも射程圏に入ってくる。
テツノイサハex——相手のリソースを引き継ぐ「奇襲屋」
特性「ラピッドバーニア」によって、手札から出すことでバトル場に移動しつつ、盤面のエネルギーを自由にこのポケモンに付け替えることができる。「がくしゅうそうち」や「リブートポッド」で盤面に散らばったエネルギーを有効活用しつつ奇襲できることから、本デッキのメインアタッカーになることが多い。ダメージは180点と控えめだが、リザードンexやトドロクツキexといった草弱点のポケモンが環境の中心にいるため活躍する場面は多い。
ラピッドバーニアは「手札からベンチに出したとき、盤面のエネルギーを好きなだけこのポケモンに付け替えられる」特性だ。これが独特で、別のポケモンに蓄積されたエネルギーをそのままテツノイサハexに移してバトル場に突撃できる。いきなり完成したアタッカーが飛び出してくる感じは、相手からすると読みにくい。
草タイプという点も見逃せない。リザードンexの草弱点を突ければ180ダメージが360ダメージ相当になる。HP330でも一撃で倒せる計算だ。
テツノイバラex——特性ロックで場を制圧
特性「イニシャライズ」によって、未来以外のルールを持つポケモンの特性を止めることができる。ルギアVSTARや悪リザードンexに対して強力な制圧能力を有する。ワザ「ボルトサイクロン」は威力は控えめながら、多くのポケモンを2回の攻撃で倒すことができ、ワザ「ごっつぁんプリファイ」にもつなぐことができる。未来バレットはエネルギーの加速が苦手なデッキであるのに対し、このワザは後続にエネルギーを残すことができることから未来というコンセプトにおいて相性が良いワザとなっている。
テツノイバラexは以前「ルギアVSTARキラー」として名を馳せたポケモンで、未来バレットに組み込むことでルギア対面をほぼ制圧できる。特性を止めてからアーケオスが機能しない状態で殴り続けるという展開は、ルギア側からすると手がつけられない。ボルトサイクロンで後続にエネルギーを残しながら試合を進められる点も、エネルギー管理の難しいこのデッキとのかみ合わせがいい。
試合の流れ——3つのフェーズで考える
序盤(1〜2ターン目):ミライドンを使い倒す
先攻後攻どちらを選ぶかは環境次第だが、後攻1ターン目からアクセルピークが打てるため、後攻でも十分動ける点がこのデッキの強みのひとつだ。
序盤はミライドンとテツノカイナexを育てよう。ロストバレットや古代バレットのような中盤にかけて強い行動ができるデッキに対しては、序盤からテツノカイナexを育てて圧をかける動きが強力だ。テツノカイナexが倒されなければそのまま試合を終わらせることも可能だろう。
1ターン目にミライドンを出して、まずアクセルピークを宣言。このとき「どのアタッカーに何のエネルギーを貼るか」を即断できるかどうかが試合の質を左右する。相手のデッキを開幕から読んで、最初の2ターンで育てるべきポケモンを決める。
相手がロストバレットっぽいなら迷わずテツノカイナexに雷エネを積む。リザードンex系なら草エネをテツノイサハexへ。判断を1ターン目から持っていることが、このデッキをうまく動かせるかどうかの分水嶺になる。
中盤(3〜5ターン目):アタッカーを使い分けて削る
主役のテツノカイナexが育ったら、ごっつぁんプリファイを宣言し続けることが最優先。
テツノカシラexの特性「コバルトコマンド」で強化したテツノカイナexのワザ「ごっつぁんプリファイ」が強力で、連打してサイドレースを有利に進めるのがこのデッキの核心だ。
中盤はテツノカシラexをベンチに置くタイミングを意識する。コバルトコマンドが発動している状態でのごっつぁんプリファイは、それだけで相手のサイドプランを狂わせる打点になる。ここにテツノイサハexの奇襲を絡めることで、相手に「どこから攻撃されるか読めない」プレッシャーを与え続けられる。
リブートポッドも中盤に活きる。倒されたポケモンからトラッシュに落ちたエネルギーを次のポケモンに貼り直して、攻撃の連鎖を維持する。このカードが手元にあるかどうかが、中盤のテンポに直接影響する。
終盤(6ターン目以降):詰め方を間違えない
終盤は、テツノイサハexやテツノカイナex、テツノカシラexで攻めていこう。特にテツノイサハexは場に出すとすぐに闘える状態にできるので奇襲性が高くおすすめだ。テツノカシラexでベンチを狙撃したりテツノカイナexでサイドを多く取ったりと、選択肢がかなり豊富なので、相手のデッキや状況に合わせてワザを使い分けよう。
残りサイドが2枚の状況での判断が重要だ。盤面に相手のサポートポケモンがいれば、テツノカイナexのごっつぁんプリファイでそこを狙って3枚取りを狙う。サイドを2→-1とひっくり返せれば、次のターンに最後の1枚を取るだけで勝ちが確定する。この「2ターンで3+1枚」の詰め方を手番ごとに頭に描きながらプレイするのが、終盤の鉄則だ。
エネルギー管理——このデッキ最大の難所
正直に言うと、未来バレットで一番苦労するのはエネルギー管理だ。
未来バレットは数種類のエネルギーが採用されているため、エネルギー管理が難しい。リブートポッドのようなカードはトラッシュにある基本エネルギーを自分の「未来」のポケモンに1枚ずつつけられるため、エネルギーが足りない際に役立つ強力なグッズだ。
草・雷・水・闘など複数タイプのエネルギーを抱えているため、「このターン何を貼るか」の判断が毎回発生する。アクセルピークで貼れるのは2枚。その2枚を何に使うかを間違えると、次のターンに動けないアタッカーが発生する。
僕が失敗したのは、草エネルギーが1枚だけ山札に残っている場面でアクセルピークを使ったとき、ランダムに引いてしまったエネルギーが雷だったケース。テツノイサハexにはまだエネルギーが1枚しか貼れていない。草弱点のリザードンexが相手なのに、次のターン火力が出せなかった。
対策はシンプルで、「どのポケモンを次のアタッカーにするか」を前のターンから決めておき、そのポケモンに必要なエネルギーを優先的に探す姿勢を持ち続けること。ヘビーバトンもうまく活用して、倒されたポケモンのエネルギーを無駄にしない連鎖を意識しよう。
有利・不利のマッチアップ
リザードンex——テツノイサハexで有利を取る
現環境に位置するリザードンexデッキには草ポケモンのテツノイサハexを入れることで一撃で倒すことができる。
草弱点のリザードンexは180ダメージが倍になって360ダメージ相当。HP330を超えるため一撃でワンパンできる。ラピッドバーニアで奇襲しながら盤面のエネルギーをかき集めて一発で仕留める展開ができれば、テンポで圧倒できる。
ルギアVSTAR——テツノイバラexの出番
特性「イニシャライズ」でアーケオスの「プライマルターボ」を封じながら戦える。ルギア側はエネルギー供給源を失うため動きが極端に鈍る。雷弱点を突けるポケモンを同時に育てておければ、長期的に有利が続く。
タケルライコex・レジドラゴ——対策しにくい苦手相手
タケルライコやレジドラゴなど、有利に立ち回ることができないデッキが環境に多い。先攻を渡しても後攻を渡しても地獄のマッチアップで、相手が先攻の場合は盤面にエネルギーを多く溜めることができるためアクセルピークでエネルギーを溜めたテツノカイナexを呼び出されて負ける展開になる。
苦しいときに狙うルートとして、1ターン目に相手のポケモンexにミライドンのワザ「アクセルピーク」、2ターン目に「ごっつぁんプリファイ」で倒してサイドを3枚取る。3ターン目にイキリンコexに「ごっつぁんプリファイ」のルートで勝ち切りたい。
最短プランを描きながら、手が届く勝ち筋に集中するしかない。
テツノツツミ——縁の下の力持ちを忘れるな
特性「ハイパーブロアー」によって相手のバトルポケモンをベンチに下げることができる。未来バレットはダメージが低いため、バトルポケモンを倒せない場合があるが、テツノツツミの特性を使用することで倒しやすいポケモンを呼び出せることがある。ワザ自体も進化ポケモンのワザの使用をロックするという地味に偉い技をもっており、環境次第ではアタッカーとしての運用も検討できる。
ハイパーブロアーは「一ターン、相手のバトルポケモンをベンチに下げる」特性で、HPが高いポケモンが相手のバトル場に居座って倒せない状況を打開できる。HPの低いサポートポケモンや育ちかけの進化前をバトル場に呼び込んで、そこにごっつぁんプリファイを合わせる流れが綺麗に決まったときは爽快だ。
目立たないが、このポケモンがいるかいないかで試合の詰め方が変わる場面は確実にある。
このデッキを使う人に伝えたいこと
未来バレットは「強いデッキ」というより「使い手の判断力が出るデッキ」だと思っている。
弱点特攻のコンセプトが機能するためには、相手のデッキを素早く読んで、次のターン以降の盤面を先読みする力が必要だ。マッチアップによって最適解が変わるため、毎試合ゼロベースで考える習慣が求められる。
でもそれが面白い。考えた通りの展開になったとき、「ここで草エネを貼ったのが正解だった」という達成感は、テンプレ通りに動くだけのデッキでは得られない感覚だ。
テツノカイナexのワザ「ごっつぁんプリファイ」でサイドを1枚多くとる効果が強く、ミライドンのワザ「アクセルピーク」でベンチの未来ポケモンにお手軽にエネルギー加速ができる。逃げるエネルギーが重たいポケモンが多いが「ブーストエナジー未来」をつけると逃げエネ0になる点も覚えておきたい。
ブーストエナジー未来は逃げエネを0にしてくれるポケモンのどうぐで、複数エネルギーが必要な未来ポケモンの入れ替えコストを帳消しにする。使えば使うほど細かい恩恵に気づくカードで、採用枚数と使い所を意識するだけでデッキの回転がぐっと安定する。
まとめ
未来バレットを一言で表すなら「対応力に振り切ったスピードデッキ」だ。
ミライドンのアクセルピークで毎ターンエネルギーを供給しながら、テツノカイナexのごっつぁんプリファイを軸に4〜5ターンで勝ち切る。テツノカシラexのコバルトコマンドで打点を底上げし、テツノイサハexのラピッドバーニアで奇襲を仕掛け、テツノイバラexで特性ロックをかける。
序盤から相手のデッキを読んで、育てるポケモンを即断する。エネルギー管理はミスが出やすいが、リブートポッドとヘビーバトンで補いながら攻撃の連鎖を絶やさない。苦手対面は割り切る。詰めの場面で「ごっつぁんプリファイ×3回でサイド6枚」を常に頭に描きながら動く。
覚えることはそれなりにあるけれど、チェスや将棋ほど複雑ではない。数試合やれば「あ、このデッキはこういうゲームをするものなんだ」と体が理解してくる。そこからが本当の面白さの入り口だと思う。

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