トラッシュが積まれるほど、牙が育っていく
序盤は弱い。それがわかっていて使うデッキがある。
古代バレットはそういう種類のデッキだ。最初の2〜3ターン、相手に先行してサイドを取られることを受け入れながら、静かにトラッシュを育てていく。そして中盤以降——トラッシュの古代カードが20枚を超えたあたりから、戦局が一変する。
非エクのトドロクツキが、HP330のリザードンexすら吹き飛ばすような打点を叩き出す。
古代バレットは「古代タイプのたねポケモンを使い分けて戦うデッキ」というわけでもなく、その実は非エクのトドロクツキがほぼメインアタッカーで、いかにしてトドロクツキの火力を伸ばしていくかという点に重きが置かれている。トドロクツキは、基礎70点に加えてトラッシュの古代の数で火力が上昇していくため、ゲーム後半でトラッシュに古代が20枚以上溜まってくれば大型もワンパンできる。
数字にすると、70+(古代カード枚数×10)ダメージ。古代カードが20枚トラッシュにあれば270ダメージ。25枚なら320ダメージ。これを非エクのポケモンが出してくる。倒されてもサイドは1枚しか取られない。相手からすれば本当に頭の痛い相手だ。
「バレット」なのに、実はほぼ一本槍
名前のせいで誤解しやすいのが、このデッキの実態だ。
古代バレットというデッキ名から想像するに、相手のデッキタイプに合わせて適したポケモンを使用して戦うように感じるが、実際はほとんどトドロクツキで戦う。これはトドロクツキ以外のポケモンを場に出すと基本的にそれはトラッシュに送れないカードとなり、ワザ「あだうちやばね」のダメージを下げてしまうことが原因だ。
場に出したポケモンはトラッシュに行かない。場に置いてある間は「古代カードの枚数」にカウントされない。だからコライドンもハバタクカミも、盤面に居続けること自体が火力のロスに繋がる。使ったらトラッシュに送る、という意識が求められる。
不用意に古代ポケモンを場に残さないために、トドロクツキ以外のアタッカーは序盤にコライドンを1〜2回使う程度と考えておくのが大切だ。「ハバタクカミ」はあくまで古代カードの枚数を確保するための採用で、アタッカーとしてはあまり考えていない。他の古代ポケモンと比較して、万が一スタートした場合でも逃げるが1で入れ替えやすく、特性が活躍する場面があることから、ハバタクカミを優先して採用している。
ここを理解していないと、コライドンやハバタクカミを「使えそうだから」という理由でベンチに留め置いてしまい、肝心のトドロクツキの打点が上がらない——という残念な展開になりやすい。
主要カードを整理する
トドロクツキ(非ex)——このデッキの主役にして最終兵器
ワザ「あだうちやばね」は悪エネルギー2つで使用でき、トラッシュにある古代カードの枚数×10ダメージを上乗せする。
きちんと動けばゲーム中盤からはたねポケモンのV・exを打ち取れる210〜240点を出せるようになるため、「タケルライコex」に対して非常に有利なサイドレースを仕掛けられるデッキとして注目を集めている。
HPは140。これが絶妙な数値で、トドロクツキのHPが「おとぼけスピット」の110点・「ロストマイン」の120点を耐えられる140なので「ロストバレット」の相手も非常に得意だ。ロストバレットの主要ダメージラインをことごとく下回っている。偶然ではなく、設計として噛み合っている感じがする。
加えて、古代ポケモンの特権である「ブーストエナジー古代」のおかげで、非エクながらHPが200になるため、テツノカイナexの「ごっつぁんプリファイ」も余裕で耐えることができる。
オーリム博士の気迫——毎ターンの燃料補給
「古代バレット」はトドロクツキにオーリム博士の気迫やダークパッチでエネルギーをつけることで、サイド1のアタッカーで毎ターン中〜高火力を出すことをコンセプトとしたデッキだ。
オーリムはトラッシュのエネルギーを古代ポケモン2体に1枚ずつつけながら3枚ドローできるサポートで、後攻1ターン目から使用可能。これを毎ターン使い続けることがこのデッキの根幹だ。
このデッキはサポートをボスの指令に割く余裕があまりないので、カウンターキャッチャーの採用が優先される。HPが高いポケモンに受け回される負け筋をケアするために必要なカードだ。
毎ターンオーリムを使い続ける都合上、ボスの指令は打てない。それをカウンターキャッチャーで補う設計は、トドロクツキexデッキと発想が同じだ。受け回しされても強引にベンチを呼び出せる手段を確保しておくことが、終盤の詰めに直結する。
コライドン——序盤の「つなぎ」と火力の橋渡し役
コライドンのワザ「げんせいらんだ」は優秀で、場にいる古代ポケモンの数×30ダメージを与えられる。古代ポケモンを場に並べられるとダメージが出せるので序盤から使用したいワザだ。
コライドンが活きる場面は主に序盤。トドロクツキの打点がまだ低い間、場に古代ポケモンを4〜5体並べた状態でげんせいらんだを使えば120〜150ダメージが出る。この序盤のダメージを稼ぎつつ、使い終わったコライドンをトラッシュに送ってトドロクツキの燃料にする——この連鎖が美しい。
かがやくゲッコウガ——ドローとトラッシュの両立者
このデッキに採用されているサポート「オーリム博士の気迫」はトラッシュからエネルギーを加速する効果を持つため、かがやくゲッコウガの特性と相性が良い。また、ドロー効果もゲッコウガが頼りになる部分が多いため、かがやくゲッコウガが非常に重要な役割を担っている。
エネルギーを1枚トラッシュすれば2枚引けるかくしふだは、古代バレットでは「エネルギーのトラッシュ」自体が価値を持つため、コストが実質ゼロに近い。何度も使い続けることで山札を削りながら有効牌の濃度を高めていく動きは、このデッキの安定感の核になっている。
探検家の先導——古代カードをトラッシュに送る専用装置
手札にある古代のカードをトラッシュに送ることで、トドロクツキのワザ「あだうちやばね」の火力を上げることができつつ、サポート「オーリム博士の気迫」を確定サーチできるため、古代バレットデッキと相性がとても良い強力なカードだ。
手札の古代カードをトラッシュに送りながらオーリムをサーチする。この一枚で「トラッシュを増やす」と「次のターンのエネ加速手段を確保する」という二つのことが同時に解決できる。序盤に引けると試合の流れが一気に安定する。
動かし方——序盤・中盤・終盤の役割分担
序盤(1〜2ターン目):トラッシュを積みながら場をつなぐ
1ターン目に優先したいのはかがやくゲッコウガを出すことと、トラッシュを稼ぐためにデッキを回していくことだ。古代のカードを使ったり、手札を切れるカードで使わない古代のカードを切っていこう。
かがやくゲッコウガをバトル場に出して、かくしふだでエネルギーをトラッシュしながらドローを重ねる。大地の器で闘エネルギーをサーチして即トラッシュ。ポケストップで山の上から3枚めくってグッズを補充しつつ残りカードをトラッシュに送る。
この一連の流れを1ターン目から高速で回すことが、序盤のゴールになる。
2ターン目はコライドンでげんせいらんだ。古代ポケモンを3〜4体並べていれば90〜120ダメージ程度を出せる。HPが中程度のたねポケモンなら倒せるし、倒せなくても傷をつけておくだけで後続のトドロクツキへのつなぎになる。
盤面に古代ポケモンを出し過ぎると実質的にトラッシュにおける古代の数が減ってしまうので、基本はゲッコウガ+3体程度の展開で抑えておこう。ハバタクカミやコライドンは大体の場合で1体しか使わないので、手札に来た2体目以降は手札を切るカードのコストとして使って問題ない。
2体目以降のコライドンやハバタクカミは「燃料」として割り切る。これができるかどうかが、中盤以降の打点に直結する。
中盤(3〜5ターン目):トドロクツキ起動のタイミングを見極める
トラッシュの古代カードが15〜20枚を超えてきたら、トドロクツキの本領発揮だ。
古代バレットのメインで使われるトドロクツキのワザ「あだうちやばね」は悪エネルギー2つで使用できるワザで、トラッシュにある「古代」のカードの数だけダメージが上がる。大地の器や探検家の先導を積極的に使い、トラッシュに「古代」のカードを溜めていこう。
オーリムで悪エネルギーを加速しながら毎ターンあだうちやばねを宣言し続ける。非エクのアタッカーが200ダメージ超えを叩き出せるようになると、相手側のサイドプランは根本から崩れていく。
このタイミングでカウンターキャッチャーも活きてくる。HPが削れた相手のポケモンや、ベンチで育ちかけのサポートポケモンを呼び出してサイドを積み上げる。
終盤(6ターン目以降):逃げ切りと仕上げ
とにかくトドロクツキがワザを出せない状況を作らないことが勝利の近道になるデッキだ。中盤以降はサイド1のアタッカーでサイド2のポケモンを倒せるので、タケルライコexやレジドラゴVSTARなどの中型ポケモンで戦うデッキには、序盤で大きく差をつけられない限りサイドレースで逆転することができる。
終盤に相手がナンジャモやツツジで手札干渉を仕掛けてくることが多い。そこに備えて「ベンチのトドロクツキにも事前にエネルギーを貼り込んでおく」ことが大切だ。
ゲーム中盤以降にナンジャモを連打されると動けないターンができてしまう。それを見越して「ベンチのトドロクツキもワザを出せる状態にしておく」「あらかじめ山札を削って有効牌の濃度を高めておく」などの準備をしておくのは忘れないようにしよう。
手札が2〜3枚になっても、エネルギーがすでにトドロクツキについていれば攻撃は続けられる。この「手札干渉を受けても動ける体制」を作っておけるかどうかが、終盤の安定感に大きく関わってくる。
実際やってみてわかった、このデッキの難しさ
正直なところ、使い始めてしばらくは「序盤の弱さ」に慣れるのが一番大変だった。
相手に先行してサイドを取られても慌てない、という感覚が身につくまで時間がかかった。サイドが0-2になると反射的に「負けている」と感じてしまうが、このデッキは「あと4枚先に取れれば勝ち」という計算で動いている。
特に失敗しやすいのが「コライドンを場に残しすぎる」パターンだ。
序盤にコライドンで2回ほど攻撃して活躍してくれると、なんとなく「まだいてもいいかな」という気持ちになる。でも場に居続けるコライドンはトラッシュに行けず、トドロクツキの打点の足を引っ張り続ける。げんせいらんだで攻撃できなくなったターンには迷わずトラッシュするか、手札を切るカードのコストに使い切る判断が必要だ。
コライドンなどのトドロクツキ以外のアタッカーは序盤に1〜2回使う程度と考えておくのが大切で、ハバタクカミは古代カードの枚数を確保するための採用という割り切りを持っておくことが重要だ。
もう一つ。トラッシュに古代カードを送ることに夢中になりすぎて、肝心のエネルギーをトラッシュに落とすのを忘れるケースもあった。オーリムはトラッシュのエネルギーを加速する。つまりトラッシュにエネルギーがなければ機能しない。かくしふだやポケストップの使い方で、エネルギーをトラッシュに送ることも並行して意識し続けることが大切だ。
有利・不利の対面まとめ
タケルライコex——得意中の得意
中盤以降はサイド1のアタッカーでサイド2のポケモンを倒せるため、タケルライコexに対して非常に有利なサイドレースを仕掛けられる。
タケルライコexはHP240の大型ポケモンだが、トドロクツキのあだうちやばねが210〜240ダメージ出せる中盤以降は一撃圏内に入る。しかも倒されてもサイドは1枚。相手からすると、サイド2のポケモンをサイド1のアタッカーで倒され続けるという、計算が合わない戦いを強いられることになる。
リザードンex・ドラパルトex——明確な不利対面
2進化のポケモンexを運用する「リザードンex」「ドラパルトex」の相手はアタッカーを一撃で倒せず、一方的にサイドを進められてしまう。
HP330のリザードンexを倒せるだけのトラッシュ枚数(33枚以上)が溜まるには時間がかかる。その間にリザードンexでサイドを取られ続ける展開は、逆転が難しい。
ドラパルトexのファントムダイブはベンチのポケモンにもダメカンを飛ばしてくる。HP140のトドロクツキ複数体に狙いを定められると一気に盤面が崩れる。対策として、ジラーチなどのベンチ保護手段をデッキに忍ばせておくことも選択肢だ。
ロストバレット——有利を取れる相手
トドロクツキのHPが「おとぼけスピット」の110点・「ロストマイン」の120点を耐えられる140のため、ロストバレットの相手は非常に得意だ。
ウッウもヤミラミも、このHPラインには届かない。ロストバレット側がワンパンを狙えないため、毎ターンあだうちやばねを続けているだけでペースを握れる。ハバタクカミをバトル場に出してあんやのはばたきでキュワワーの特性を止める選択肢もあるため、対ロスト戦は戦いやすい相手だ。
他のサイトでは語られにくい話——「古代の枚数」を意識した構築思考
このデッキを使い込んでいくと、「なぜこのカードが採用されているのか」という理由が「古代カードの枚数確保」というレンズで見えてくる。
デッキのほとんどが「古代」カードとそれをトラッシュするまたは手札に加えるためのカードで構成されている。
採用カードを60枚の中で考えるとき、「このカードは古代カードか否か」が選択基準の一つになる。たとえばノーマルのグッズを採用するとデッキの古代枚数比率が下がり、終盤の打点上昇ペースが遅れる。だから古代バレットでは、たとえ強いグッズでも「非古代のカードを増やしすぎること」を避ける構築思考が必要になる。
このデッキは「トレッキングシューズ」を採用しており、グッズでデッキを回す高速ターボ軸のデッキだ。必要なカードを手札に加えながら、トラッシュに「古代」カードを貯めやすくなっている。また、グッズを多めに採用しており、「ポケストップ」で手札に加えやすくなっている。
グッズ比率が高い設計にして、ポケストップで一気にグッズを補充できる仕組みを作る。この設計がデッキ全体の回転速度を担保している。
おすすめの使い方——「慌てない」が実は最重要スキル
古代バレットは先攻を選択する。相手が後攻1ターン目から攻撃できない場合、先攻2ターン目の攻撃と後攻1ターン目の攻撃はサイドレース上同じテンポであり、先攻2ターン目から攻撃する場合はエネルギーの手貼りと特性「かくしふだ」の回数が1回分多くなるため安定する。
先攻を選ぶ理由がここにある。かくしふだを1回多く使えるということは、トラッシュの積み上げが1ターン分早くなるということだ。それが中盤の打点の立ち上がりに影響してくる。
試合の流れとしては「序盤は種まき、中盤は収穫、終盤は刈り取り」というイメージが近い。序盤に焦って前のめりになりすぎると、まいた種が育つ前に力尽きてしまう。サイドを先行されても、淡々とトラッシュを積み上げて打点を育てる——その忍耐力こそが、このデッキを使いこなす上での核心だと感じている。
相手がexポケモンを3体出しても、こちらは非エクで戦い続ける。倒されてもサイドは1枚。中盤から打点が250〜280を超えてくれば、相手が何を使っていようと関係なくなる。
そのフェーズに入ったとき、「あ、もう負けないな」という静かな確信が生まれる。ロングゲームの果てに手にする、静かな達成感。それがこのデッキの面白さだと思う。
まとめ
古代バレットを一言で表すなら「後半型の非エクバレット」だ。
序盤は甘んじてサイドを取られながら、かがやくゲッコウガ・大地の器・探検家の先導・ポケストップを駆使してトラッシュに古代カードを積み上げる。コライドンで序盤のダメージをつなぎ、使い終わったらすぐトラッシュに送る。
中盤以降、トドロクツキが主役に昇格する。オーリム博士の気迫で毎ターンエネルギーを補給し、あだうちやばねで相手のexポケモンを粉砕し続ける。手札干渉に備えてベンチのトドロクツキにも事前にエネルギーを貼り込んでおくこと。
終盤、トラッシュが25枚を超えたあたりで打点は320に届く。そうなれば、相手のHPは関係なくなる。
ブーストエナジー古代でHPを200に底上げして、テツノカイナexのごっつぁんプリファイも耐える。倒されてもサイドは1枚。次のトドロクツキが出てきてまた殴る。
この「サイド効率の非対称さ」で、大型exデッキを逆転していく。使えば使うほどそのメカニズムが体に染み込んでくるデッキなので、じっくり育てながら使い込んでほしい。

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