グレンアルマを複数体並べたひおくりバレットが決まっているときの強さは、使っているときも対戦しているときも体感できる。毎ターンひおくりを複数回起動して任意のアタッカーに炎エネルギーを集中させる動きは、特定のアタッカーを育てるだけでなく「今この瞬間に一番都合のいいポケモンに一気にエネルギーを載せる」という独特の柔軟さがある。しかしその柔軟さの源泉はひおくりという特性1点に集まっているため、そこを止められるカードが出てきた瞬間に、デッキの中核が音を立てて崩れる。
グレンアルマデッキの弱点を生む構造
グレンアルマはカルボウから進化する2進化ポケモンで、弱点は水タイプだ。
グレンアルマ(ひおくり)を採用したデッキは、ひおくりの特性でエネルギーを自在に移動させて様々なアタッカーを機動させるバレット戦略が核心だ。複数体並べるほどひおくりを複数回使えるため、場に多く展開することが理想になる。
弱点の構造は3軸に整理できる。ひおくりという特性を封じてエネルギー移動を止める、2進化という構造的な遅さを序盤に攻める、炎弱点を突くこの3点のどれかに刺さるカードが相性の悪いカードになる。
頂への雪道——ひおくりをルール持ち特性として封じる
グレンアルマはexポケモンではないがルールを持つ
グレンアルマ(ひおくり)はVSTARやexではない通常の2進化ポケモンだ。しかしルールを持たないポケモンの特性は頂への雪道の影響を受けない——と思いがちだが、それは誤りだ。頂への雪道は「ルールを持つポケモンの特性をなくす」効果で、グレンアルマが採用されているデッキには同時にルール持ちポケモンも採用されていることが多く、それらの特性が止まることでデッキ全体の動きが鈍くなる。
グレンアルマ自身がルールを持たないため、頂への雪道ではひおくりは止まらない。ここは多くのプレイヤーが混同しがちなポイントで、雪道を貼ってもひおくりは機能し続ける。対策としては、グレンアルマに直接刺さる特性封じカードを選ぶ必要がある。
テツノイバラex——イニシャライズで盤面全体の動きを止める
グレンアルマデッキはカルボウから2進化させて場にグレンアルマを複数体並べる必要があるが、テツノイバラexのイニシャライズはルール持ちポケモンの特性を封じる。グレンアルマがルールを持たない2進化ポケモンであれば特性封じの対象外になるが、同デッキに採用されている他のルール持ちポケモンの特性が止まることで展開が制限される。
ただし、グレンアルマのひおくり自体はルールを持たないため、テツノイバラexがバトル場にいてもひおくりが止まるわけではない。重要なのはグレンアルマデッキに一緒に採用されているシステムポケモンの特性が止まる点で、ビーダルの「はたらくまえば」、イキリンコexの「イキリテイク」、ロトムVの「そくせきじゅうでん」——これらが同時に封じられると手札を補充する手段が大幅に減り、グレンアルマを場に並べるための展開が滞る。
ドラパルトexのファントムダイブ——カルボウをベンチで消す
カルボウのHPは60だ。ファントムダイブのダメカン6個をカルボウ1体に集中させれば一撃できぜつの計算になる。グレンアルマを複数体並べるためにカルボウを複数体展開している状況を逆手に取り、ファントムダイブのダメカンを分散させてカルボウを複数体同時に処理する動きが対策として機能する。
カルボウから進化させていくデッキなので、進化前のカルボウが倒されると場のグレンアルマが補充できなくなる。序盤に進化ラインを崩されると、ひおくりを複数回使えない状況が続く。
グレンアルマが1体しか場にいない状態では、ひおくりが1ターンに1回しか使えない。複数体展開することで複数回のエネルギー移動が可能になるデッキの性質上、カルボウをファントムダイブで複数体まとめて処理されると、グレンアルマの展開数が制限されてひおくりの回数が激減する。
水タイプ弱点——炎タイプの根本的なリスク
グレンアルマの弱点は水タイプで、水タイプへの対策も考えてデッキを組む必要がある。
炎タイプのポケモンは水タイプに弱点を持つ。パオジアンexのヘイルブレードはエネルギーが多いほど打点が上がる青天井ワザで、弱点倍率2倍を受けるとグレンアルマのHPが高くても一撃圏内に入ってしまう。グレンアルマが複数体並んでいる状況では、弱点を持つ全員が水タイプの攻撃の標的になる。
対面次第でノコッチで弱点を消す対処もあるが、ベンチ枠の圧迫と引けるかどうかのランダム性が常についてくる。水タイプが多い環境ではグレンアルマデッキを持ち込むリスクが上がり、その対策を構築に組み込む必要がある。
ワザマシンデヴォリューション——進化したグレンアルマをカルボウに戻す
ワザマシンデヴォリューションはどんなデッキにも採用しやすく、進化デッキ全般に有効なカードだ。グレンアルマのようにHPが高い2進化ポケモンも、退化させてダメカン超過でのきぜつが狙える。
ダメカンが乗った状態のグレンアルマをデヴォリューションで退化させると、カルボウのHPを超えるダメカンが乗っていれば即きぜつする。グレンアルマは炎エネルギーを複数つけてひおくりで動いているため、日常的にダメカンが蓄積していくことがある。その状態にデヴォリューションが使われると、場にいるグレンアルマが一気に消えてひおくりの回数がゼロになる瞬間が来る。
複数体のグレンアルマがまとめて退化させられる最悪のシナリオが起きると、エネルギーを移動させる手段がなくなってアタッカーが動けなくなる。これがグレンアルマデッキとしての最も壊滅的な状況で、デヴォリューションへの対処を構築に含めておく重要性が高い。
手札干渉——2進化完成前の準備段階を崩す
グレンアルマは2進化ポケモンのため準備に時間がかかる。序盤に手札干渉を受けると進化に必要なカードが揃わず、グレンアルマを複数体並べる計画が崩れやすい。
カルボウをコータスに進化させ、さらにグレンアルマに進化させる2段階の要求が常にあるため、この過程で手札干渉を受けると進化に必要なカードを引けないターンが増える。特に先攻2〜3ターン目に相手からナンジャモやジャッジマンが飛んでくると、グレンアルマが完成する前に相手の攻撃が通り始めてサイドが先取される展開が生まれる。
2進化デッキに対する手札干渉の効果は他のデッキより大きい。進化カード・ふしぎなアメ・エネルギーの3点が同時に必要になる場面で、その一つでも揃わないと進化タイミングが1ターン以上遅れる。
2進化ラインへのボスの指令——コータスを呼び出して進化を止める
カルボウからコータスへの進化中に、コータスをボスの指令でバトル場に呼び出して倒すことで、グレンアルマへの進化を妨害できる。コータスはHPがカルボウより高いが、多くのアタッカーで倒せる範囲に入る。
コータスが倒されると、そのラインのグレンアルマへの道が消える。複数本の進化ラインを並行して育てているグレンアルマデッキにとって、序盤にコータスを1〜2体処理されると場に並ぶグレンアルマの枚数が想定より少なくなる。ひおくりの起動回数が減り、エネルギー配分の自由度が下がる。
実戦での失敗談と成功体験
ファントムダイブでカルボウを全滅させられた試合
シティリーグの予選でグレンアルマ採用の炎デッキを使ったとき、相手がドラパルトexデッキだった。序盤にカルボウを3体ベンチに並べて「次のターンに2体進化させよう」と計画していたところ、相手のファントムダイブが来た。ダメカン6個をカルボウ3体に2個ずつ分散させた結果、カルボウが全員HP20。次のターンのヤミラミのロストマインでカルボウが全滅した。
あの試合、カルボウを全部並べたのが失敗だった。1体はベンチに温存して、被害を分散させるべきだったと後から気づいた。ファントムダイブを意識するなら、カルボウを出すのは最小限にして進化のタイミングを慎重に計る必要がある。
ひおくりでエネルギーを集中させてサイドを一気に取った試合
うまくいった試合もある。タケルライコexデッキと対面したとき、グレンアルマを2体並べてひおくりを毎ターン2回起動できる状態にした。タケルライコexを倒すために必要なエネルギーをひおくりで一気に1体のアタッカーに集中させ、きょくらいごうを受ける前に先制攻撃でサイドを2枚取り続けた。ひおくりの柔軟性が最大限に機能した試合で、相手はエネルギーが毎ターン自在に動く状況への対処が間に合わなかった。
エネルギーを「貯める」のではなく「動かす」というひおくりの使い方が身についたのは、この試合だった。
グレンアルマデッキ側が持つ対処手段
水弱点への対処はノコッチの採用か、水タイプが多い環境では水弱点を受けにくい配置を意識する。デヴォリューションへの対処はコータスを経由した丁寧な進化でHPを維持する。ファントムダイブへの対処はカルボウを過剰展開せず、最小限の本数でグレンアルマへの進化を確保する。手札干渉への対処は、特性でドローできるシステムポケモンとの組み合わせで山を掘る速度を安定させる。
グレンアルマバレットは、ひおくりという強力なエネルギー移動手段を軸にして様々なアタッカーを使い分けるデッキだ。ひおくりが機能している間の柔軟性は他のエネルギー加速手段と一線を画していて、それが刺さる対面での爆発力は格別だ。
相性の悪いカードを把握しておくことで、「この対面はひおくりが止まる可能性がある」という前提で動き方を変えられる。20年以上ポケカをやってきた中でも、エネルギーを動かす特性という設計のユニークさはこのカードならではで、止まったときの影響を正確に知っているほど使いこなす精度が上がっていく。

コメント