相手のHPが関係ない、という話
HP330のリザードンexだろうと、HP260のルギアVSTARだろうと、関係ない。くるいえぐるを宣言した瞬間、そのポケモンは必ずきぜつする。
これがトドロクツキexデッキの核心だ。「ダメージで倒す」という概念そのものを無視した、ポケモンカードの常識の外に立つワザ。使ってみると、その理不尽さと気持ちよさが同時にやってくる。
ただし、そのぶんリスクも本物だ。くるいえぐるを使ったトドロクツキex自身には200ダメージが乗る。翌ターン、相手に倒されることはほぼ確定している。だから「倒してから生き延びる」ための工夫が、このデッキの本当のテーマになる。
デッキのコンセプトを一言で言うなら
トドロクツキexデッキは、高い攻撃力を序盤から相手に押し付けて短期決着を狙う前のめりなデッキだ。
前のめり、という表現がぴったりくる。守りの選択肢が少なく、とにかく攻め続けることで試合のテンポを握る。スポーツでいえば、守備よりも攻撃に全振りしたようなチームのイメージに近い。勝つときは圧倒的だが、リズムが乱れると一気に崩れる。
ただ、大筋のプレイ方針はどのマッチアップでも変わらないため、自分ルールを曲げずにデッキを回すことができる。正しい手順で固くプレイするように練習すれば、初心者でも上級者に勝ちやすいデッキタイプだ。
これは本当のことで、やることが明確に決まっているデッキほど練習の効果が出やすい。迷いが少ない分、プレイの精度を上げることに集中できる。複雑な判断が苦手な人にとっては、むしろ取っつきやすいデッキかもしれない。
まず「くるいえぐる」の性質を正確に把握する
ここを誤解したまま使っている人が意外と多い。
ワザ「くるいえぐる」は効果によるきぜつだ。効果によるきぜつは、例えば「ギフトエネルギー」「ヘビーバトン」「サバイブギプス」などの効果を無視することができる。トドロクツキを使用する際には、ワザによるきぜつと効果によるきぜつの違いを明確にしておこう。
「ダメージで倒す」のではなく「効果で倒す」という点が肝だ。ギフトエネルギーがついていても手札は増えない。ヘビーバトンがあってもエネルギーは引き継がれない。サバイブギプスで生き残ることもない。そういった「倒されたとき発動する効果」を一切無効化できる。
一方、ミストエネルギーには注意が必要だ。ミストエネルギーをつけているポケモンはワザの効果を受けないため、「くるいえぐる」の一撃気絶を無効化できてしまう。くるいえぐるは効果によるきぜつなので、ミストエネルギーで止められる。
ルギアVSTARデッキがミストエネルギーを採用しているのは、まさにこのトドロクツキex対策でもある。対ルギア戦でミストエネルギーがついているポケモンに対してはくるいえぐるが通らない。その判断を即座にできるかどうかが、実戦での分岐点になる。
核心カードを整理する
トドロクツキex——攻撃と反動を同時に抱える主役
トドロクツキexの最大の特徴はワザ「くるいえぐる」の確定気絶だ。200ダメージを受けるデメリットがあるが、残りHPに関係なく確定で気絶させるため、相手のエースポケモンを一撃で倒せる。
HP230という数値も計算されていて、環境の多くのアタッカーの攻撃を一度だけ耐えられる設計になっている。トドロクツキexはミライドンexやルギアVSTARなど、対戦環境で多く使われているポケモンのワザを一撃は耐えられる。
もう一つのワザ「カラミティストーム」は最大220ダメージを出せる通常攻撃ワザで、くるいえぐるを使えない場面(ミストエネルギー対策・体力管理など)での代替手段として機能する。この2択を持っていることがトドロクツキexの器用さに繋がっている。
弱点については心強い事実がある。トドロクツキexの弱点が草タイプである点が追い風になっている。現在の対戦環境に草タイプはほぼいないため、トドロクツキexが弱点をつかれて一撃で倒されることはない。
オーリム博士の気迫——このデッキの「燃料タンク」
オーリム博士の気迫はトラッシュの基本エネルギーを古代カテゴリのポケモン2匹までに1枚ずつつけて山札を3枚引けるサポートだ。
トドロクツキexは古代カテゴリのポケモン。つまりオーリム博士の気迫でエネルギーを直接つけられる。後攻1ターン目から使用できるサポートのため、手貼り+オーリムでエネルギーを2枚用意して初ターンから攻撃を仕掛けることができる。
ほぼ毎ターン「オーリム博士の気迫」を使用する関係上、ボスの指令を使うタイミングを作れないため、グッズで実質ボスの指令ができる「プライムキャッチャー」はトドロクツキexデッキに必須ともいえるACE SPECだ。また入れ替え効果もダークパッチとの噛み合いが良く、デッキとの相性が抜群だ。
毎ターンオーリムを使い続けなければエネルギーが継続供給できない構造上、ボスの指令を打つ余裕がほぼない。だからプライムキャッチャーの価値が飛び抜けて高い。「グッズでベンチ呼び出しができる」という一点がこのデッキの弱点を補っている。
かがやくゲッコウガ&イキリンコex——初動の安定剤
1ターン目に優先したいのは、かがやくゲッコウガとイキリンコexを出して、デッキを回していくことだ。「ダークパッチ」と「オーリム博士の気迫」でエネ加速を行うためにはエネルギーをトラッシュに置く必要がある。そのため、かがやくゲッコウガやイキリンコの特性を活用することで、エネルギーをトラッシュしながらダークパッチとオーリム博士の気迫を引き込もう。
かがやくゲッコウガの特性「かくしふだ」は手札からエネルギーを1枚トラッシュすることで2枚ドローできる。エネルギーをトラッシュすること自体がこのデッキでは価値のある行動なため、ドロー効果のコストが一切無駄にならない。まさに理想的なかみ合わせだ。
モモワロウex——入れ替えと凶悪な毒ギミックの担い手
モモワロウexはベンチの悪ポケモンをバトル場と入れ替えることができる特性を持ったポケモンだ。トドロクツキデッキはダークパッチでエネ加速を行う関係で入れ替えが必要になる場面が多いため、毎ターン1回入れ替えを支援できるモモワロウexは相性が良い。くるいえぐるを使う場合であれば、どくになるデメリットもそこまで気にならない。
くるいえぐるを宣言したトドロクツキexは、200ダメージを負って翌ターン倒される寸前になる。そこでモモワロウexの特性を使ってベンチに待機している新しいトドロクツキexと入れ替える。これが「攻めながら逃げる」このデッキの基本ムーブだ。
1ターン目——やることは実はシンプル
トドロクツキexデッキの初動を複雑に考える必要はない。
かがやくゲッコウガをバトル場かベンチに出す。イキリンコexを出す。手札からエネルギーをトラッシュしながらかくしふだで2枚ドロー、イキリテイクで手札を補充する。この流れを通しながら、悪エネルギーをトラッシュに積み込む。
先行の場合は、手貼りとダークパッチでトドロクツキの育成を進めて、2ターン目に確実に攻撃できるようにしよう。後攻の場合は「オーリム博士の気迫」が使用できるので、手貼り+「オーリム博士の気迫」+「ダークパッチ」または「エネルギーつけかえ」で攻撃を仕掛けよう。
後攻ならオーリムが使えるため、手貼り1枚+オーリム1枚+ダークパッチ1枚=計3枚のエネルギーを1ターン目から用意できる可能性がある。くるいえぐるには悪エネルギー1枚+無色エネルギー2枚が必要なので、この条件は達成できる。後攻1ターン目からいきなり相手のポケモンをきぜつさせることも珍しくない。
試合開始から相手に「何もさせない」展開を作れるのが、このデッキが前のめりと呼ばれる理由だ。
中盤の動き——「使い捨て→入れ替え」のリズムを刻む
トドロクツキexは「くるいえぐる」を使用した返しのターンでほぼ確実に倒される。そのためポケモンexが軸のデッキだがキチキギスexの特性の発動機会も多くなる。
「くるいえぐる→倒される→次のトドロクツキexに交代→くるいえぐる」
このサイクルを淡々と繰り返すことが、中盤以降の基本戦略になる。感情的に「倒されたくない」という気持ちが出てくると判断が鈍るが、倒されることを前提に試合を組み立てているデッキなのでそこは割り切る必要がある。
理論上、先殴りでくるいえぐるを3回当ててしまえば、サイドを2枚取れるポケモンを3回倒して勝つことができる。実際は相手もサイドを1枚しか取られないポケモンを挟んだりと対策してくるため、適宜非exのトドロクツキを動かしたり、カラミティストームで耐える動きをしたりと対策する必要がある。
相手が非エクポケモンを挟んできたとき、無理にトドロクツキexで攻撃する必要はない。非エクのトドロクツキ(1進化)を使ってサイドを1枚取ることでペースを合わせる判断も選択肢に入れておこう。
ポケストップとの噛み合い——地味だが重要な要素
ポケストップはグッズを中心にデッキを回していくこのデッキにとって、実質的に山札を3枚引く手段として活用できる。後攻1ターン目からワザを使うためにはたくさんのカードが必要になるため積極的に使っていきたい。
ポケストップは山札の上から3枚をトラッシュして、その中のグッズを全て手札に加えられるスタジアムだ。一見地味だが、トドロクツキデッキはグッズ比率が高いため、3枚めくれば1〜2枚のグッズが引けることが多い。しかもトラッシュに落ちたカードがエネルギーならオーリムやダークパッチでそのまま活用できる。無駄がない。
失敗談——「くるいえぐるを使い続けて、気づいたらトドロクツキexが全員倒れていた」
正直な話をする。
使い始めた頃、攻撃の気持ちよさに引っ張られてくるいえぐるを連発した。1ターン目も2ターン目も3ターン目も、ひたすらくるいえぐる。相手のポケモンはどんどん倒れて快調だった。ところが試合中盤、ベンチを見渡したらトドロクツキexが1体しか残っていなかった。
次のターンに倒されたら次のアタッカーがいない。オーリムを使えるが加速先がいない。ダークパッチも無意味。そのまま詰んで負けた。
教訓は「ベンチには常に後続のトドロクツキexを2体用意しておく」こと。くるいえぐるを宣言したら翌ターンに倒される。だからその前に次の攻撃手が用意できているかを必ず確認するクセが必要だ。
あと、もう一つ。
オーリム博士の気迫を使ったそのターン、必ずトドロクツキexが2体以上ベンチにいる状態にする。
オーリム博士の気迫は古代のポケモン2体にエネルギーを加速できるため、できる限りトドロクツキを盤面に2体以上用意して使うようにしよう。
1体しかいない状態でオーリムを使うと、もう1枚分のエネルギー加速が丸々無駄になる。このロスが積み重なると、後半のアタッカー育成が間に合わなくなる。
厳しい相手と楽な相手——見極める目を持つ
ルギアVSTAR——ミストエネルギーという壁
ルギアVSTARデッキが増えてきている環境はトドロクツキにとって追い風な面もあるが、ミストエネルギー対策は必須だ。ミストエネルギーがついているポケモンに対してはくるいえぐるが無効化されてしまう。
ロストスイーパーやカードを剥がす手段を採用することが対策になる。ミストエネルギーを除去してからくるいえぐるを宣言する、という一手間が必要だと頭に入れておこう。
タケルライコex——速度で勝負する
先にサイドを2枚取った方が勝つマッチアップだ。先にサイドを取るとはサイドの進行を2-2-2で勝ち切るということ。お互い非exのポケモンをバトル場に出し、虎視眈々とその機会の到来を待つ。その機会は概ねトドロクツキ側の方が先に到来する。タケルライコ側は「プライムキャッチャー」または「ボスの指令」を引いてこなければならないが、トドロクツキ側には「ポケモンキャッチャー」が複数採用されているため、アタッカーを用意しながらベンチポケモンを呼び出すハードルはトドロクツキ側の方が低い。
焦らず、相手がexポケモンをバトル場に出したタイミングを逃さずくるいえぐる。この機会を逃さないためにポケモンキャッチャーを複数枚採用している意味がある。
カビゴンLO——完封できる相手
シェア率を徐々に伸ばしているカビゴンLOに対して勝率100%だ。モモワロウexの特性「しはいのくさり」の効果でカビゴン側がポケモンをバトル場に縛れず、くるいえぐるでミミッキュも突破可能だ。
コントロール系のデッキに対してこれほど相性が良いのは、アーケオスの特性「プライマルターボ」でどのポケモンもワザを使うことができる「ルギアVSTAR」デッキと同様、コントロール系統の相手に対して戦いやすいのがトドロクツキデッキを使う要因の一つといえる。
「効果によるきぜつ」の深いところ——上級者向け知識
この点を理解しているとプレイの幅が広がる。
ワザ「くるいえぐる」は効果によるきぜつだ。効果によるきぜつは「ギフトエネルギー」「ヘビーバトン」「サバイブギプス」などの効果を無視できる。
たとえばルギアデッキがアーケオスにヘビーバトンをつけていたとする。普通のワザで倒した場合、エネルギーが次のポケモンに引き継がれる。だがくるいえぐるで倒せば、ヘビーバトンの効果が発動しない。相手のエネルギー供給ルートをまるごと断ち切れる。
使う側からすれば単純に「相手を倒す」だけのワザに見えるが、相手目線では「道具の効果を無視されて倒された」という精神的ダメージも大きい。この非対称さがこのデッキを独特な存在にしている。
ジムバトルの準決勝で起きたこと
練習でも大会でもなく、ジムバトルの話だ。
相手はリザードンexデッキ。先攻を取られて2ターン目にリザードンexが完成した。HP330のリザードンex。通常のデッキなら頭を抱えるところだ。でも僕は特に焦らなかった。
かがやくゲッコウガとイキリンコexで初手のデッキを回し、悪エネルギーを3枚トラッシュに落とした。ベンチのトドロクツキexにオーリムとダークパッチでエネルギーを貼り込む。完成した。
くるいえぐるを宣言。HP330のリザードンexがきぜつした。サイドを2枚取得。
相手が「えっ」と声に出した。そりゃそうだ。HPが330あって何の意味もなかった瞬間なんだから。
その後も翌ターン倒されながら次のトドロクツキexと交代し続け、最終的に3ターンのくるいえぐるでサイドを6枚取り切った。綺麗すぎるゲームだった。
このデッキが面白いのは、「大きな壁を崩す快感」が毎試合必ず一度はやってくる点だと思う。相手が丹精込めて育てたHPの高いポケモンを、ぜんぶ無駄にしてしまうあの瞬間。クセになる。
まとめ
トドロクツキexデッキを動かすうえで押さえてほしいことを最後に絞り込む。
序盤のゴール:かがやくゲッコウガとイキリンコexで悪エネルギーをトラッシュに送り込みながら、オーリムとダークパッチを手元に揃える。後攻なら1ターン目からくるいえぐる宣言を目指す。先攻なら2ターン目に必ず攻撃できる盤面を優先。
中盤の鉄則:トドロクツキexは使い捨て前提で運用する。倒される前に次のアタッカーがベンチにいるか確認してから攻撃する。モモワロウexで入れ替えを繰り返すリズムを体に覚え込ませる。オーリム博士の気迫は常にトドロクツキex2体を対象にできる状態で使う。
注意点:ミストエネルギーへの対処手段を確保しておく。「くるいえぐる」が効果によるきぜつであることをいつも意識する。サイドプランは2-2-2が理想だが、相手が非エクを挟んだ場合は無理に合わせず非エクのトドロクツキで柔軟に対応する。
とにかくシンプルで力強いデッキだ。プレイングが複雑になりすぎないから、試合ごとに「何がよかったか・何が悪かったか」を振り返りやすい。上達を実感しやすいという意味でも、使い込む価値のあるデッキだと思っている。

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