ミュウVMAXが環境に登場したころ、最初に対戦したときのことをよく覚えている。こちらのデッキは整っていたはずなのに、相手のフュージョンシステムが毎ターン4枚も引いてくる動きについていけず、気がついたらサイドを全部取られていた。「これは反則じゃないか」と思ったほどだ。しかしそんな強デッキにも、きちんと刺さるカードが存在する。ミュウVMAXと相性の悪いカードを正しく理解することは、ミュウ対策を考える側にとっても、ミュウを使う側にとっても同じくらい価値がある。
ミュウVMAXの仕組みをまず整理する
相性の悪いカードを理解する前に、このデッキの核心を確認しておく必要がある。
ミュウVMAXデッキは、ゲノセクトVの「フュージョンシステム」によって毎ターン大量にカードを引き、ミュウVMAXの高耐久・高打点を押し付けるデッキだ。最序盤から複数のゲノセクトVを展開することで、毎ターン3〜4枚ドローを2〜4回行う。一度ポケモンを展開してしまえば止まらず、状況を解決する札を探し続けられる点が安定した強さの最大の理由だ。
ワザ「クロスフュージョン」は無色2エネルギーで自分のベンチにいるフュージョンポケモンのワザをひとつ使えるため、ベンチのフュージョンポケモンの選択肢が増えるほど対応力が上がる。ミュウV・VMAXは逃げエネが0であり、状況に応じていつでもバトル場のポケモンを入れ替えられる。
つまり、このデッキの強さの源は「フュージョンシステムによる大量ドロー」と「ベンチのフュージョンポケモンを活かしたワザの柔軟性」の2点に集約される。この2つを妨害できるカードが、そのまま相性の悪いカードになる。
最大の天敵——頂への雪道
なぜこれほど刺さるのか
頂への雪道が場に出ると、ゲノセクトVのフュージョンシステムによるドローが封じられてしまう。ゲノセクトVの特性による大量ドローとベンチのフュージョンポケモンのワザを使うことが主軸のデッキであるため、スタジアム対策のカードは必ず用意しておく必要がある。
雪道でフュージョンエネルギーさえ止めてしまえばデッキの動きが止まる。自身のデッキ構築やプレイングが歪められるため練習が必要だが、これが一番手軽な対策になる。ただし、デッキに1〜2枚程度雪道を採用したくらいではミュウVMAXは止まらない。ミュウVMAXのデッキに入るスタジアムは3枚がトレンドで、2枚以下の採用ではシンプルにスタジアムの張り替え合いに負けてしまう。雪道で本気でミュウを止めようと思うなら3〜4枚採用する覚悟が必要だ。
ここが重要な点で、頂への雪道を「1〜2枚入れておけばなんとかなる」という甘い考えでは機能しない。ミュウ側も豊富なサーチ力でスタジアムをすぐに張り替えてくる。雪道で本当に勝ちたいなら枚数で押し込む必要がある。
雪道+ツツジ・ジャッジマンのコンボが本体
ただ雪道を貼るのではなくツツジやジャッジマンと合わせて使うことで、ミュウ側の手札がたった2枚となり、復帰が非常に困難になる。
ダブルターボ型のミュウデッキは「雪道+ジャッジマンで高いハードルを押し付け続けるデッキ」でもある。自分はゲノセクトVで手札回復する一方、相手には手札干渉を繰り返す。序盤から強く手札干渉できるが、ポケモンVを1匹倒された時点でナンジャモと同等以下の干渉になるため注意が必要だ。
雪道単体でミュウが止まるかどうかは相手次第だが、そこにジャッジマンやナンジャモを重ねることでドローサポートを持たないミュウ側が本当に詰まる。この組み合わせが機能した瞬間の「あっ、これ詰んだ……」という感覚はミュウを使っていると特に強く感じる。
ミュウを使う側の視点で言えば、雪道を貼られた後の対処手段が限られている。
バケッチャの採用も雪道対策として有効だが、ベンチを埋めるというデメリットがあまりにも大きすぎる。また、雪道ツツジされたときのためにボール系を温存しなければならず、デッキを掘り進めることができないのも辛い。バケッチャの採用はデッキの大幅なパワーダウンにつながってしまう。
これがミュウを使う上での根本的なジレンマで、雪道への対策を厚くすればするほどデッキ本来の強みが薄まっていく。この構造的な弱さを突いてくるカードとして、頂への雪道は依然として最上位の相性の悪いカードだ。
ドラピオンV——専用メタとして登場した天敵
エネルギーなしでミュウVMAXを一撃する設計
ドラピオンVはいちげきポケモン・れんげきポケモン・フュージョンポケモンの数ぶんワザを使うための無色エネルギーが少なくなる特性を持っている。ミュウVMAXデッキはフュージョンポケモンのみで構成され、ベンチをフル展開することから場に6体フュージョンポケモンが並んでいないことが稀なほどだ。そのためドラピオンVは特性でワザをエネルギーなしで使うことができる。さらにミュウの弱点である悪タイプという点も重なり、相手を一撃で倒すことのできるキラーカードになっている。
ドラピオンVのワザ「ダイナミックテール」は無色4個が必要なワザだが、場に6体フュージョンポケモンが並んでいれば4エネが消えて0エネで起動でき、かつ弱点の悪タイプで380ダメージを与えられる。
これほど一方的なカードは珍しい。「フュージョンポケモンをたくさん並べる」というミュウデッキの強みそのものが、ドラピオンVに対してはそのまま弱点になる。強みが弱みに反転する構造で、ミュウ使いとして初めてこの動きを受けた瞬間は思わず苦笑いするしかなかった。
ロストシティを使えばドラピオンVやヤミラミなど苦手なポケモンを回収不能なロストゾーンへ送ることができる。ミュウ側の対処として有力な手段の一つだ。
ミュウ側もロストシティでドラピオンVを葬る選択肢は持っている。だからこそ対策デッキとしてドラピオンVを採用する側は、ロストスイーパーでロストシティを除去されないよう動き方を考える必要がある。
ジュラルドンVMAX——特殊エネルギーを完全シャットアウト
まてんろうがミュウの主力エネルギーを封じる
フュージョンエネルギーやダブルターボエネルギーをつけているとダメージが通らないジュラルドンVMAXも、ミュウVMAXが苦手とするカードだ。
ジュラルドンVMAXは特性「まてんろう」により特殊エネルギーからの攻撃を受けなくなる。ミュウVMAXデッキは特殊エネルギーであるフュージョンエネルギーの活用が多いため、この特性は非常に有効に機能する。
ミュウVMAXが動く根幹はフュージョンエネルギーとダブルターボエネルギーの2種類の特殊エネルギーだ。これを完全に無効化されると、クロスフュージョンで繰り出すワザのほとんどが通らなくなる。ゲノセクトVのテクノバスターですら特殊エネルギーが乗っていれば無効になる。
ただし、頂への雪道でジュラルドンVMAX側の特性を封じることができれば状況が変わる。ミュウが自身のデッキに雪道を採用しているタイプなら、その点で対処できる可能性もある。なお、キャンセルコロンを使えばまてんろうを無効化してダメージを通せるため、ミュウ側がキャンセルコロンを用意しているかどうかも重要な変数になる。
崩れたスタジアム——ベンチ展開を干渉する
ベンチの最大枚数を削ってフュージョンシステムを弱体化させる
崩れたスタジアムはベンチに置けるフュージョンポケモンの数が減らされてしまうため、ミュウVMAXデッキは頂への雪道と崩れたスタジアムの両方を警戒する必要がある。
崩れたスタジアムが場にある状態でフュージョンポケモンを大量展開しようとすると、ベンチに置ける数が制限されてフュージョンシステムのドロー枚数が減る。さらに相手が崩れたスタジアムの効果を使ってミュウ側のベンチポケモンを排除すれば、クロスフュージョンのワザ選択肢も狭まる。ベンチを5体に絞って動くミュウデッキにとって、ベンチ枚数の制限は思った以上に痛手になる。
ゲノセクトVへの直接攻撃——フュージョンシステムを根絶やしにする
ドローエンジンを倒されると詰む
クロスフュージョンは対象のポケモンがいなければ使えないワザだ。先にゲノセクトやメロエッタを倒すことでミュウVMAXのワザの火力を减少させることができる。手札が手詰まりになったときはボスの指令を使って相手のゲノセクトVをバトル場に呼び出す手もある。
ゲノセクトを3回取られてしまうと完全に詰んでしまうため、ゲノセクトVの保護を考える必要がある。
ゲノセクトVはVポケモンなのでサイドを2枚取られてしまうが、クワガノンVのように特性封じを持つポケモンや、ゲノセクトVを積極的に呼び出してくるデッキには確かに対処が難しくなる。ゲノセクトVが全滅した後のミュウVMAXはフュージョンシステムが使えなくなり、手札を補充する手段が一気に細くなる。ここまで崩れてしまうと逆転は相当難しい。
ガラルファイヤーVを使った悪タイプデッキ
弱点を一貫して突いてくる構成が苦手
ミュウの弱点である悪ポケモンで構成されているデッキはタイプ相性で有利に戦える。特にガラルファイヤーVのワザ「オーラバーン」でゲノセクトVを一撃で倒すことができるため、不利になるポケモンがいない強烈な構成になる。
ミュウは超タイプで悪タイプに弱点を持つ。弱点倍率が2倍になるため、通常では耐えられるダメージでも倒されてしまうケースが増える。特にガラルファイヤーVはベンチに控えるゲノセクトV自身も悪弱点で一撃圏内に入るため、フュージョンシステムを機能させる前に盤面を壊される可能性がある。
ミュウVMAXの弱点である悪タイプは強力なカードが多く、一発で倒されることが多い。
ゲノセクトVの特性を封じる特性持ちポケモン
特性封じはフュージョンシステムを直接止める
ミカルゲの特性「しっこくのわざわい」でゲノセクトVの特性を封じることも有効な対策になる。頂への雪道でゲノセクトVの特性を封じる方法と並んで、ミュウVMAXを止める手段として機能する。
ミカルゲはスカーレット・バイオレット環境で登場したカードで、その特性はルールを持つポケモン全員の特性を封じる。これが場にいるだけでゲノセクトVが使えなくなり、フュージョンシステムによる大量ドローが止まる。頂への雪道と違ってスタジアムではないため、ロストスイーパーで除去されにくい点もポイントだ。
ただし、ミカルゲ自身のHPは低いため、ボスの指令で呼ばれて倒されてしまうリスクがある。その点も踏まえて採用枚数と対処手段を考えておく必要がある。
手札干渉カード——フュージョンシステムを機能させない
ナンジャモ・ジャッジマンとの複合効果
頂への雪道+マリィという組み合わせでゲノセクトVの特性が消されると手札不足になる。手札にトラッシュできないカードが集まると動けなくなる。フュージョンエネルギーが手札に来すぎるとカミツレのきらめきが打てなくなるという問題もある。
ミュウデッキは博士の研究やマリィをほとんど採用していないため、雪道が出た状態で手札を削られると回復する手段が乏しい。ナンジャモやジャッジマンで手札を2〜4枚に押し込んだ状態に雪道が重なると、フュージョンシステムで引ける枚数もゼロになり、完全な手詰まりになる。
ミュウVMAXデッキでは博士の研究を毎ターン切ると結果的にボスの指令が使えない状況が生まれる。フュージョンシステムに頼りきっているため、手札干渉でそのシステムを止められると急に動けなくなる脆さがある。
ミュウ自身が持つ対策手段とその限界
クロスフュージョンでミュウVのワザ「サイコジャンプ」を使い、ダメージを受けたVMAXを山札に戻して実質全回復する動きは必須級のテクニックだ。
ダイミラクルでジュラルドンVMAXのような特殊エネルギーを無効化するポケモンに対しても、基本エネルギーを使ったダイミラクルなら正面からダメージを与えられる。これでいわゆる詰み盤面が作られにくくなっている。
ミュウVMAXはこれだけの対策カードが存在しながらも、長きにわたって環境に居続けた。それはまさに、これらの弱点を対処するカードやプレイングが内包されていたからだ。ドラピオンVにはロストシティで対処、ジュラルドンにはダイミラクルで対処、雪道にはロストスイーパーやウッウロボで対処、それでも雪道+ジャッジマンの組み合わせや、ドラピオンV採用デッキには本当に苦しむ場面が多かった。

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