パオジアンexを使い始めて最初にぶつかった壁は、ドラパルトexだった。ベンチにセビエを3体並べてセグレイブの進化準備を整えていた2ターン目、相手のファントムダイブが飛んできた。ダメカン6個セビエのHPは60だ。瞬く間にベンチが更地になって、セグレイブへの道が全部閉ざされた。パオジアンexはバトル場にいるのに、エネルギーを加速できるポケモンがいない。その番、何もできずに返した。「このデッキって、裏側をつぶされたら終わりなんだ」と実感したのがあの試合だった。
パオジアンexデッキの弱点を生み出す構造
相性の悪いカードを正確に理解するには、このデッキが何で動いているかを掴んでおく必要がある。
パオジアンexデッキは、セグレイブの特性「きょくていおん」で基本水エネルギーを加速して、パオジアンexやかがやくゲッコウガなどのポケモンで攻めるデッキだ。パオジアンexの特性「わななくれいき」はバトル場にいるかぎり山札から水エネルギーを2枚まで手札に加えられ、ワザ「ヘイルブレード」は場の水エネルギーをトラッシュした枚数×60ダメージを与える青天井ワザだ。
ワザを使うのにたくさんの基本水エネルギーを要するポケモンが多いが、エネ加速の手段はセグレイブのみ。セグレイブがいなければパオジアンexの火力も出ないし、かがやくゲッコウガやカイオーガのワザを使うのにも時間がかかる。
つまり弱点の構造は一本の線でつながっている。セグレイブを潰す、わななくれいきを封じる、エネルギーを枯渇させるこの3点のどれかを突いてくるカードが、そのまま相性の悪いカードになる。
ドラパルトex——セビエをファントムダイブで根絶やしにする
HP60のセビエが広域ダメカンで消える
パオジアンexデッキはドラパルトexデッキと相性が悪い。パオジアンexデッキに採用しているセビエのHPが60なため、ファントムダイブのダメカン6個できぜつしてしまう。さらにドラパルトexデッキはヨノワールも採用しているため、カースドボムとファントムダイブのコンボでこちらの盤面を壊滅させてくることが厄介だ。
セビエがHP60という数字は、ファントムダイブの分散ダメカン配布にぴったり嵌まる数字だ。60のダメカンをベンチのセビエに集中させればそれだけで倒せる。ヨノワールのカースドボムが事前に30ダメカンをのせていれば、ファントムダイブのダメカン3個で倒せる計算になる。セビエを何体並べても、相手の1ターンで全員消えるという悪夢が起きる。
セグレイブが並ばない状態でパオジアンexが動こうとすると、わななくれいきで手札にエネルギーを集められても、きょくていおんで場に加速できない。エネルギーは手の中にあるのに攻撃できない、という手詰まりが起きる。コダックの「しめりけ」でカースドボムのダメカン付与を防ぐ対処策はあるが、コダックを引けない場合はそのまま盤面が溶ける。
ドラパルト対面での実体験
ジムバトルでドラパルトexと当たったとき、先攻を取れていた。セビエを2体並べてカイでふしぎなアメとセグレイブを持ってきた、その次のターンのことだ。相手のファントムダイブが飛んで、セビエが2体きぜつ。残った1体のセビエにもダメカンが4個。次のターンにさらに進化前を倒されて、セグレイブへの進化ルートが全て塞がれた。
その後パオジアンexで殴り続けたが、エネルギー加速がないまま手張り1枚ずつしかつけられず、ヘイルブレードの火力が出ない。最後は1体倒せないまま押し切られた。この対面では、コダックの採用か、セビエを勇気のお守りで硬くする対処が実際には機能するが、どちらも事前の準備が必要だという教訓が残った。
頂への雪道——わななくれいきとセグレイブを同時に止める
デッキのエンジン2基を一枚で封じる
頂への雪道はパオジアンデッキには一番効果が高いカードだ。わななくれいき、スターポータル、かくしふだ、ルミナスサインと雪道があると止まるポケモンが多く存在する。ビーダルを採用しているとはいえ、雪道で止まることが多くなる。
パオジアンexの特性を封じるカードとして頂への雪道がおすすめで、セグレイブの特性はディンルーexの特性「じゅばくのだいち」で封じることができる。
頂への雪道はルールを持つポケモンの特性をすべてなくす。わななくれいきが止まると手札にエネルギーを供給できなくなり、きょくていおんも止まるため加速手段が完全に消える。パオジアンexはエネルギーを大量に消費するデッキなので、加速が止まった瞬間に攻撃継続が難しくなる。
さらに、かがやくゲッコウガのかくしふだも止まる。このデッキは博士の研究以外のドロー手段がかがやくゲッコウガに頼っている部分が大きいため、雪道下でかくしふだまで機能しなくなると手札が急激に細くなる。ロストスイーパーで剥がす選択肢はあるが、その1ターンにどれだけのダメージを受けるかがそのまま試合のテンポ差になる。
タケルライコex——速攻で準備時間を奪う
パオジアンexデッキはタケルライコexデッキと相性が悪い。タケルライコexデッキは後攻1ターン目から攻撃するので、こちら側の準備が間に合わず負けてしまう。パオジアンexデッキは2進化のセグレイブを使うため、どうしても1テンポ遅れてしまう。
パオジアンexデッキはセビエからセグレイブへの進化が必要で、理想的に動いても3ターン目にならないとエンジンが本格稼働しない。タケルライコexは後攻1ターン目から「きょくらいごう」が撃てる体制を整えられる速度を持つため、パオジアン側の準備が整うより先にサイドを取られ続ける展開になる。
サイドを2枚先取されたままセグレイブを立ててヘイルブレードで押し返そうとしても、タケルライコexのHP240は「フォトンブラスター」のような高火力単発でも届かない。きぜつさせるたびにエネルギーを大量消費するヘイルブレードでは、タケルライコexが連続して倒されない限りサイドレースが詰まっていく。
スーパーエネルギー回収を封じるカード群——息切れを強制する
ダストダスの「ねんきんコロニー」がピンポイントで機能する
どんどんエネルギーをトラッシュするパオジアンデッキが継続的に戦い続けられる理由がスーパーエネルギー回収だ。手札を2枚トラッシュする代わりにエネをトラッシュから4枚も回収できるこのカードにより、パオジアンやかがやくゲッコウガなどを毎ターン使える。だからそれを使わせなければいい。ダストダスの特性「ねんきんコロニー」によりトラッシュにあるカードが特性やトレーナーズで手札に加えられなくなる。ピンポイントでスーパーエネルギー回収をメタっていると言って差し支えないポケモンだ。
パオジアンexはヘイルブレードを使うたびに水エネルギーをまとめてトラッシュする。このトラッシュに落ちたエネルギーをスーパーエネルギー回収で手元に戻し、再度きょくていおんで加速するというサイクルが成立しているからこそ、青天井の攻撃を複数回続けられる。ダストダスがトラッシュからの回収を封じると、このサイクルが完全に機能しなくなる。山札にエネルギーが尽きたら終わり、というシビアな状況になる。
ビワも有効な対策手段で、相手の手札を見てその中にあるグッズ2枚をトラッシュできる。いい感じのタイミングで使えると相手が次のターンに使おうとしていたスーパーエネルギー回収を落とせる。コントロールには必須の1枚で、パオジアン以外にも強いのがいいポイントだ。
ビワはスーパーエネルギー回収を手札ごと落とせるため、回収を使えないターンを作り出す。パオジアン側がスーパーエネルギー回収を握っているタイミングを見計らって使えると、次のターンのヘイルブレードがエネ不足で失速する。ただし使うタイミングの見極めが難しく、相手の手札を読む力が求められる。
ミミッキュ——exポケモンからのダメージを完全無効化する
ミミッキュの特性「しんぴのまもり」を使うことで、パオジアンex、オリジンパルキアVSTAR、アローラロコンVSTARなどのex・Vポケモンから攻撃を受けなくなる。
パオジアンexのヘイルブレードは当然exポケモンのワザなので、ミミッキュには一切通らない。デッキの主力アタッカーが機能不全に陥る。超エネルギーを採用していない構成ではミミッキュに対して有効な攻撃手段が皆無になり、ミミッキュが突破されるまでその間にサブアタッカーで何とかするしかなくなる。テツノカイナexならごっつぁんプリファイが無色エネで動くため対処の選択肢になるが、準備に時間がかかる。
そらをとぶピカチュウVMAXのワザ「ダイバルーン」は160ダメージを与えつつ次の相手の番このポケモンはたねポケモンからワザのダメージを受けなくなるため、パオジアンexなどのたねポケモンから攻撃を受けなくすることができる対策としておすすめだ。
たねポケモン主体のパオジアンデッキに対してダイバルーンが刺さる理由はここで、一度ワザを使えば翌ターンにパオジアンexからのヘイルブレードを受けなくなる。その間に相手は何もできない。この「攻撃しながら1ターン無敵になる」仕組みは、パオジアンデッキにとって返し手が限られる対処困難な状況を生み出す。
手札干渉——要求カードが多いデッキの急所を突く
ナンジャモ・ツツジが決定的に刺さる理由
パオジアンexデッキを使ううえで最も注意するべきはナンジャモやツツジなどの手札干渉だ。パオジアンexは攻撃に必要な要求カードが多いので、手札を少なくされると不利に動くことが多い。残りサイド1枚の状態でナンジャモを使われた場合1枚しか引けないので、仮にスーパーエネルギー回収が引けたとしても次のターンの1枚ドロー分と合わせても使うことができない。スーパーエネルギー回収やハイパーボールなど、手札を消費することで使えるカードが多いのも手札干渉カードに弱い理由だ。
これがこのデッキの根本的な脆さで、「要求カードが多い」という性質が手札干渉の効き目を増幅させる。ヘイルブレードを撃つにはエネルギーが手元に必要で、そのエネルギーを準備するにはスーパーエネルギー回収やわななくれいきが機能していなければならない。その連鎖のどこかを手札干渉で断ち切られると、次のターンが詰まる。
終盤のナンジャモやアンフェアスタンプは特に凶悪で、手札が1〜2枚になった状態で引けるカードが何か、というほぼ運任せの状況に持ち込まれる。スーパーエネルギー回収が手に来なければ攻撃できず、セグレイブが落とされているような盤面では詰み状態に近くなる。
セイボリー——ベンチ展開を強制的に削ぐ
セイボリーは自分の山札を3枚引いてから相手ベンチを3枚まで絞る性能を持つサポートカードだ。パオジアンデッキはベンチ展開を重視するデッキで、パオジアン、パルキア、ビーダルは必須で展開しないといけないため、どうしてもベンチが埋まってしまう。そこでセイボリーを使ってベンチ展開を抑える方法が有効になる。
ベンチ3体という制限は想像以上に厳しい。セグレイブとパオジアンexの両方を置くだけで2枠が埋まり、残り1体にビーダルか別のシステムポケモンを置くことになる。セビエを追加で展開してセグレイブを2体育てる余裕がなくなり、1体のセグレイブが倒されたときのリカバリー手段が薄くなる。カイオーガの採用でベンチが更に埋まる構成では、セイボリーが来るだけでその試合のエネ加速プランが根本から変わる。
カビゴンLO——逃げられなくする縛りプレイ
カビゴンLOデッキはカビゴンの特性「とおせんぼ」で相手のバトルポケモンを逃がせなくしてターン数を稼ぐ。パオジアンexデッキには場のポケモンと入れ替えるカードがあまり含まれていないため、不利な戦いを強いられる。また、パオジアンexはワザを使うたびにエネルギーをトラッシュに送らなければならないため、倒してもサイドを1枚しか取れない非ルールのデッキと対面するとエネルギーが枯渇する可能性がある。
パオジアンexの逃げエネは2で、入れ替えカードが薄い構成ではバトル場に縛られたまま何もできないターンが続く。カビゴンLOのように長期戦を意図したデッキと対面すると、エネルギーをトラッシュし続けるヘイルブレードの構造が逆に首を締める。トラッシュに落ちたエネルギーを回収しながら殴り続けるためのリソースが、ターン数が増えるほど枯渇していく。
鋼弱点——タイプ相性による根本的な不利
パオジアンexの弱点は鋼タイプで、鋼タイプのデッキと対面すると弱点を突かれた2倍ダメージを受け続ける。
弱点を突かれると計算が大幅にずれる。相手の鋼ポケモンが220ダメージを持っていたとして、弱点込みで440相当の圧力になるため、パオジアンexは通常では耐えられない攻撃で一撃できぜつさせられる。鋼タイプを主軸にしたデッキとの対面では、弱点ダメージを前提にした盤面管理が必要になり、余分なプレッシャーを常に受けながら動くことになる。
パオジアン側が取れる対処手段
これだけの相性の悪いカードが存在しながら、パオジアンexが長く環境に残り続けてきた理由は、対処手段が複数内包されているからだ。
エネルギー枯渇の問題に対しては、テツノカイナexやオリジンパルキアVSTARで戦うことを意識すると良い。
セビエは2体以上出して、やられたらキチキギスexの「さかてにとる」で逆転のカードを引く対処が有効だ。ヨノワールのカースドボムはコダックの「しめりけ」で防げる。
セグレイブを1体倒されてもすぐに対処できるように2〜3体のセビエを展開しておく、コダックでカースドボムを封じる、キチキギスexで必要なカードを引き込む——これらの準備を序盤から意識できるかどうかが、この対面を乗り越えられるかどうかを左右する。
試合前に相手のデッキを見て「これはセグレイブを狙ってくる」「これは手札干渉が厚い」と素早く判断して動き方を変えられるかどうか。それがパオジアンexを大会で使いこなすうえで、一番問われる力だと感じている。デッキを握り続けてきた中でも、このデッキほど「準備」と「読み」の精度が直接勝率に出るデッキはそう多くない。

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