このデッキを初めて使ったジムバトルで、対戦相手がキャンセルコロンを使った瞬間のことを鮮明に覚えている。「特殊エネルギーつきのポケモンからダメージを受けない」まてんろうが消えて、そのターンに相手のキョダイイチゲキが飛んできた。HP320のジュラルドンVMAXがあっさり消えた。「まてんろうって、貫通手段があるのか」と気づいた瞬間だった。それまで鉄壁だと思っていた守りに穴が開いた感覚は、このデッキを使う側にも戦う側にも、非常に大切な知識だ。
アルセウスジュラルドンデッキの弱点を生む構造
アルセウスジュラルドンは耐久力、ベンチのポケモンを呼び出す戦術、6枚以上分のサイドを取らせるサイドプランの押し付けなどが強みで、基本的に4〜6回の技宣言で勝ちを目指すデッキタイプだ。しかし環境はアルセウスジュラルドンの耐久力を強引に突破して3〜5回の技宣言で勝てるデッキタイプが多いため、環境での立ち位置は良くないと考えられている。
特性「まてんろう」による特殊エネルギーのついた相手からの攻撃防御と、ワザ「キョダイフンサイ」による確実なダメージを毎ターン与える戦い方が基本だ。特性を消されたり、特殊エネルギーを使わず攻撃する相手とは相性が悪い。
弱点の構造は3軸になる。まてんろうを無効化する、頂への雪道でアルセウスVSTARの特性を封じる、耐久力を強引に突破する高火力を押しつける——この3つを持つカードが、そのまま相性の悪いカードになる。
頂への雪道——デッキの2枚看板を同時に封じる
スターバースとまてんろうが止まる二重の打撃
頂への雪道はジュラルドンVMAXの特性まてんろう、アルセウスVSTARの特性スターバースが頂への雪道を貼られてしまうと発揮できず、デッキプランである耐久にとって非常に不利な状況となる。スタジアム貼り替え競争に勝ち、有利な状況を作り出すためにスタジアムを複数採用することが必要になる。
スターバースは好きなカードを2枚手札に加えられるVSTARパワーで、これが止まると序盤の盤面形成に必要なカードを持ってくる手段が消える。さらにまてんろうも止まると、特殊エネルギーをつけた相手のポケモンからのダメージをそのまま受けることになる。この2つが同時に止まる雪道は、アルセウスジュラルドンにとって最も警戒すべきカードのひとつだ。
デッキのサイドプランとしてもバケッチャの採用もできないため、数で打ち勝つしかないというのが実情だ。スタジアムの効果としても、ジュラルドンVのHPを30回復できるため、相手にとって地味に面倒な状況を作り出すことができる優秀なスタジアムも存在する。
アルセウスジュラルドン側の対処は、自分のスタジアムを複数枚採用して貼り替え合いに勝つことだ。しかしそれでも雪道+手札干渉のコンボを受けると、スタジアムを引けないまま何も動けないターンが生まれる。このデッキを握っていると、雪道が出てきたときの「どこにあるスタジアムを使えばいいか」という逡巡が毎回起きる。
キャンセルコロン——まてんろうを一瞬で無効化する
ターンの間だけ特性を消す即効性
キャンセルコロンなど特性を消されるとどうしようもないので、スタジアムの貼り替えや回復が返しのターンで行えるよう山札の圧縮やエネルギー配分に注意して戦う必要がある。
キャンセルコロンは相手のバトルポケモンの特性をその番だけ消すグッズだ。まてんろうが消えた瞬間、その番だけジュラルドンVMAXは特殊エネルギーつきのポケモンからのダメージを普通に受ける。通常なら防げていた攻撃が通り、HP330のジュラルドンVMAXでも一撃できぜつするケースが出てくる。
自分がジムバトルでこれをくらったとき、まてんろうを過信して回復カードを使わずにいたことが裏目に出た。ダメカンが乗った状態のジュラルドンVMAXにキャンセルコロンを使われて、そのまま倒された。返しのターンに回復しておく習慣は、この経験からできた。
いちげきウーラオスVMAX——キョダイイチゲキがまてんろうを貫通する
ワザ効果ではなくダメージ計算の仕組みを利用した突破
特性を貫通するいちげきウーラオスに対しては、受けるダメージをなるべく分散し、着実にサイドをとるよう心がける必要がある。
いちげきウーラオスVMAXのワザ「キョダイイチゲキ」はいちげきポケモンのため、まてんろうが機能しない状況を一定条件で作れる場面がある。ジュラルドンVMAXの特性はあくまで「特殊エネルギーのついたポケモンからのダメージを受けない」という効果で、基本エネルギーのみで動くアタッカーには効果がない。いちげきエネルギーを絡めながら大ダメージを出してくるデッキに対して、まてんろうが役に立たない状況が生まれる。
この対面では、ダメージを分散させてどのポケモンも一撃きぜつしないようにしながら、アルセウスVSTARのトリニティノヴァで着実にサイドを稼いでいく戦い方が求められる。
スターレクイエム・アメイジングデス——確定きぜつで耐久を強制突破する
アルセウスVのワザ「アメイジングデス」やギラティナVSTARのVSTARパワー「スターレクイエム」などのジュラルドンVMAXを確定きぜつさせる効果を防ぐための対策として、ビッグパラソルが採用される。ジュラルドンVMAX+ビッグパラソルが出来上がるとかなり突破されづらい状態になる。
確定きぜつの効果はダメージではないため、まてんろうの対象外になる。スターレクイエムは当時の環境でジュラルドンVMAXを一発で落とせる数少ない手段として機能していた。これに対して、ビッグパラソルという道具でワザや特性による効果を防ぐ対策が存在するが、ビッグパラソルを引けていない状況では対処できない。
このデッキを使ううえで確定きぜつ効果を持つカードが相手に採用されているかどうかを事前に確認して、ビッグパラソルの準備を優先することが実戦では重要な習慣になる。
基本エネルギーのみで戦うデッキ——まてんろうそのものが機能しない
特殊エネルギーを使わないデッキにはまてんろうが無意味
まてんろうは特殊エネルギーのついたポケモンからのダメージを防ぐ。裏を返すと、基本エネルギーのみでワザを使うポケモンには効果がない。
例えば白馬バドレックスVMAXのダイランスは水エネルギーを主体にしたワザで、特殊エネルギーなしで大ダメージを出せる。
白馬バドレックスVMAXのワザ「ダイランス」+こだわりベルトの合計280ダメージをアルセウスVSTAR(HP280)が耐えるよう大きなおまもりが必要になる。
ダイランスはベンチのポケモンの枚数分打点が上がる仕組みで、特殊エネルギーを一切使わない。まてんろうはまったく仕事をせず、単純に火力勝負になる。アルセウスVSTARのHP280に対してこだわりベルト込みで280が届くため、大きなおまもりがなければ一撃で倒される危険がある。
やまびこホーン——トラッシュのアルセウスVを強制再展開させる
アルセウスジュラルドンの構築では、やまびこホーン対策でたねポケモンをロストゾーンに置けるカードが評価されることがある。
やまびこホーンは相手のトラッシュにあるたねポケモンVをベンチに強制的に出させるグッズだ。序盤に役目を終えてトラッシュに落ちたアルセウスVを呼び出されると、ベンチにVポケモンが増えてサイドを余分に取られるリスクが生まれる。デッキ枚数の少ないアルセウスジュラルドンにとって、意図しないポケモンがベンチに出ることは盤面管理を複雑にする。
これへの対処としてアクロマの実験でアルセウスVをロストゾーンに送るプレイングが有効で、トラッシュに落ちないようにすることでやまびこホーンを無効化できる。ただしそのためにアクロマを採用するかどうかが構築段階での判断になる。
手札干渉——ドロー手段が限られるデッキへの打撃
博士の研究をトラッシュしたくないカードが多い事情から、トラッシュせずに縦引きできるアクロマの実験も採用されることがある。採用枚数はポケギア3.0と合わせてドローできるサポートが11枚以上が最低条件と考えられる。
アルセウスジュラルドンはシステムポケモンを最小限にしたシンプルな構成のため、特性によるドロー手段が薄い。そのぶんサポートカードへの依存度が高く、ナンジャモやジャッジマンで手札を削られると次のターンにすごいきずぐすりもポケモンいれかえも引けないままになりやすい。
ジャッジマン・ツツジなどの手札を減らすカードと合わせて頂への雪道を貼ることで、さらに強力な妨害ができる。
手札干渉と頂への雪道が同じターンに重なると、動ける手段がほぼゼロになる。スタジアムを剥がしたくてもそのカードが手にない、回復したくても手にない——という完全な手詰まり状態が起きる。これが決まった瞬間は本当に何もできない感覚で、このデッキを使っていると必ず一度は経験する。
高火力デッキ全般——4〜6回の技宣言を待たせない速攻
今の環境はアルセウスジュラルドンの耐久力を強引に突破して3〜5回の技宣言で勝てるデッキタイプが多いため、環境での立ち位置は良くないと考えられている。
キョダイフンサイは220ダメージで、VSTARポケモンをワンパンできない。こだわりベルトやカリンの信念でダメージを上積みしなければ、相手のHPが高いポケモンを一撃で倒せない試合が続く。4〜6ターンかけて勝つ設計のデッキが、3〜4ターンで勝負を決めてくる相手に押し切られる構図は、まてんろうが機能していても高火力が積み重なると避けられない。
回復カードを有効に使いながら「すごいきずぐすり」でダメカンを消し続けることがこのデッキの生命線で、その回復が間に合うかどうかがそのまま試合の結果に直結する。
実戦での失敗談と成功体験
まてんろうを過信して負けた試合
シティリーグの予選でアルセウスジュラルドンを握ったとき、ジュラルドンVMAXが完成してまてんろうが機能した瞬間から「これは勝てる」と油断した。相手がキャンセルコロンを使うとは想定していなかった。ダメカンが120乗った状態のジュラルドンVMAXに対してキャンセルコロンが使われ、その番のワザで倒された。返しに次のジュラルドンVMAXを出せる準備ができていなかったため、そのまま押し切られた。まてんろうがあっても、すごいきずぐすりでダメカンを管理しながら2体目の準備を常に進めておく必要性を思い知った。
スターバースでビッグパラソルを持ってきて対処した試合
うまくいった試合もある。ギラティナVSTARと当たった試合で、スターバースのタイミングを意識的にビッグパラソルを取るために使った。ジュラルドンVMAXにビッグパラソルがつくとスターレクイエムが通らなくなり、相手はキョダイフンサイで削るしかなくなった。回復を挟みながらダメカンを消し続け、相手の手がなくなったところで勝ちを拾えた。スターバースをいつどのカードを取るために使うかの判断が、このデッキの勝率を左右する一番大きな要素だと感じた試合だった。
アルセウスジュラルドン側の対処手段
これだけの相性の悪いカードが存在しながら、このデッキが一定の期間環境で存在感を示せた理由は、対処手段がきちんと構築に内包できるからだ。
確定きぜつ効果へのビッグパラソルの採用と、頂への雪道への複数スタジアム採用が基本的な対処手段だ。これらが出来上がるとかなり突破されづらい状態になる。
大きなおまもりをつけることでVの進化までの1ターンを耐えやすくなり、アルセウスVSTARが白馬バドレックスVMAXのダイランス+こだわりベルトを耐えることができる。
頂への雪道対策にスタジアムを増やす、キャンセルコロンへの対策にダメカン管理を徹底する、確定きぜつへのビッグパラソル採用、基本エネルギーデッキには大きなおまもりで耐えしのぐ——これらをデッキ60枚の中にどれだけ自然に組み込めるかが、アルセウスジュラルドンを大会で使いこなすための設計課題になる。
相性の悪いカードを知っておくことで、「次の大会にこのデッキを持っていくかどうか」の判断と、「どの対処手段を何枚採用するか」の精度がまったく変わってくる。それがこのデッキを長く使い続けてきた経験から言える、一番の実感だ。

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