ロストギラティナを何十試合も使い込んでいると、このデッキの面白さの核心が見えてくる。技術の幅が広くて対応力が高い。どんな相手にも勝ち筋を見つけられる——はずなのに、特定の対面だけ急に手詰まりになる瞬間がある。非ルールポケモンが並んだ盤面を前にして、280ダメージのロストインパクトが完全に空振りするあの感覚は、ギラティナを使っていると必ず一度は経験する。
「技術の匠」と呼ばれたこのデッキも、カードプールの変化とともに苦しい対面が増えてきた。何が刺さるのかを正確に知っておくことが、このデッキを使いこなすための一番の近道だ。
ギラティナVSTARデッキの急所を先に整理する
ロストゾーン軸のデッキはキュワワーの特性「はなえらび」や強力なドローサポートのアクロマの実験による手札補充で安定感が高い。しかし対戦序盤の段階からゲーム終盤の展開を想定したプレイングが求められる使用難易度がやや高いデッキでもある。アクロマの実験やキュワワーの特性で一部のカードをロストゾーンに送り使用できなくなってしまうため、序盤のロストに何を送るかがゲームの勝敗に大きく関わってくる。
ロストギラティナの短所は大きく3点で、ルールを持たないポケモン相手にサイドレースで苦しくなりやすい点、ロストゾーンにカードが貯まらないと動けない点、そしてリソース管理のミスが直接敗北につながる点が挙げられる。
弱点の構造はここから自然に見えてくる。ロストゾーンを積むのを妨害する、非ルールポケモンでサイドレースを歪める、キュワワーというシステムポケモンを潰す——この3軸に刺さるカードが相性の悪いカードの本体だ。
非ルールポケモン主体のデッキ——サイドレースが根本から歪む
280ダメージが高火力になれないとき
ギラティナVSTARは非ルールのポケモンに対して非常に弱い。非ルールポケモンしかいない相手にギラティナVSTARで攻撃しても、相手は倒されてもサイドを1枚しか取られない。一方でこちらがギラティナVSTARを倒されると2枚取られる。この非対称なサイド交換が積み重なると逆転は難しくなる。
ロストインパクトの280ダメージは、多くのVSTARやexポケモンをワンパンできる計算でデザインされている。しかし非ルールポケモンのHPは多くても130程度で、280を出すことでむしろエネルギーを2個ロストゾーンに送るデメリットばかりが際立つ。使えば使うほど自分のリソースが削れていく。
非ルール相手には進化せずギラティナVのひきさくとウッウで戦い抜くのが正解という声もある。
ギラティナVSTARに進化してロストインパクトを使う、というデッキの主軸を封印して戦わなければならない対面というのは、このデッキにとって根本的なストレスだ。ヤミラミのロストマインでダメカンを分散させながらサイドを稼ぐプランに切り替える判断がいつ必要かを序盤から見極める必要がある。
タケルライコex——デッキポテンシャルの差を痛感させられる対面
特にタケルライコとマッチアップすると単純にデッキポテンシャルの差を痛烈に感じる。ロストギラティナとは技術の匠という印象が強かったが、そろそろ技術だけでは埋められない差が生じてきた。
タケルライコexのきょくらいごうは場のエネルギーが増えるほど打点が上がる青天井ワザで、準備が整うと300ダメージを超えることもある。ギラティナVSTARのHP280は一撃できぜつする射程に入ってしまう。しかもタケルライコexはHP240のたねexで、ロストインパクトの280で倒せるがサイドを2枚取るだけで、相手はきょくらいごうで280以上を出し続けてくる。
ロストゾーンを積む時間を確保できるかどうかが鍵で、序盤に相手に1〜2体倒されてサイドを先取されると、そのまま押し切られる展開が生まれやすい。スターレクイエムを温存しながらサイドを稼ぐプランを組み立てるが、それが間に合うかどうかが完全に運と展開次第になってしまうのが辛い。
キュワワーを狙うカード——エンジンを序盤に破壊する
げっこうしゅりけんとキョダイレンゲキがロストの積み上げを止める
早めに対処しないと高速でロストゾーンにカードを貯められてギラティナVSTARのVSTARパワーワザの条件である10枚を満たしてしまう。かがやくゲッコウガのワザ「げっこうしゅりけん」や、れんげきウーラオスVMAXのワザ「キョダイレンゲキ」でベンチのキュワワーを一撃で倒すことができる。
キュワワーのHPは70だ。げっこうしゅりけんの90ダメージは一撃できぜつする。ベンチに複数体並んでいるキュワワーを2体まとめて倒されると、ロストゾーンを積む速度が一気に落ちる。1ターン目に並べた2体のキュワワーが2ターン目に消えていく——その絶望感は使っている側にとって相当な打撃だ。
対策として、回収ネットでキュワワーを手に戻してベンチを絞る動きや、マナフィでベンチへのダメージを防ぐ手段がある。ただしマナフィはベンチ枠を1つ使い、キュワワーを複数展開したいデッキにとってはトレードオフになる。
サマヨールのカースドボム——ギラティナVを2ターン目に倒す
ナイトワンダラー以降ではリザードン採用のサマヨールの特性「カースドボム」でギラティナVが2ターン目の「バーニングダーク」を耐えることができなくなった。これが耐えられないとなるといよいよ次が最後の花選びかもしれないという厳しい評価がされている。
サマヨールのカースドボムは場に出たとき相手ポケモンにダメカンを30のせる効果を持つ。これが事前にのったギラティナVは、リザードンexのバーニングダークが到達するラインまでHPが下がる。本来耐えられた攻撃を耐えられなくなることで、ギラティナVSTARへの進化前に倒される展開が生まれやすくなった。
ロストゾーンを積みながら進化を急ぎたいギラティナ側にとって、進化前を早々に倒されることはロストのペースが乱れることに直結する。カースドボムが絡むリザードンexとの対面が難しくなってきたのは、このデッキにとって環境変化に伴う実質的な弱体化だ。
手札干渉——アクロマの実験が引けない展開に追い込む
アクロマの実験が引けなくとも、ギラティナVのアビスシークがロストを貯めつつ展開できるワザなのでなんとかなることが多い。ただし環境にナンジャモやジャッジマンを使用されると辛い。
手札を抱えつつカードを補充できるがナンジャモやジャッジマンを使用されると辛い。事前にエネルギーをつけておいて手札干渉に備えるプレイングが重要だ。
ロストゾーンが8〜9枚の状態でジャッジマンを打たれると、残り1〜2枚のロストを積む手段を引けないまま番を渡すことになる。スターレクイエムをあと少しで使えるところまで積み上げていたのに、手札干渉1枚でそのターンを潰される。終盤のナンジャモは特に凶悪で、取得したサイドが多い側のデッキほど引ける枚数が少なくなる。追いかける展開では一気に手が細くなる。
この経験を繰り返す中で学んだ対処が、ミラージュゲートや草エネルギー・超エネルギーをギラティナVSTAR以外のポケモンにもあらかじめ分散させておくことだ。手札干渉が来ても盤面にエネルギーが残っていれば、次のターンにワザを使える状態を維持できる。
ルギア系デッキ——入れ替え手段と高火力が重なる苦手対面
ルギア系デッキや連撃ウーラオスを相手にするとなかなかやりたいことをさせてもらえない。
ルギアVSTARデッキにはアーケオスのプライマルターボで大量のエネルギーを瞬時に供給できる仕組みがある。高HPのアタッカーを一気に動かしてくる速度は、ロストゾーンをじっくり積み上げるギラティナ側のペースと噛み合わない。さらにルギア側はジェットエネルギーで自由に入れ替えができるため、「ロストインパクト」で削ったポケモンを逃がされてしまう場面も出てくる。
スターレクイエムを温存して最大の仕事をさせようとしても、相手の高HPポケモンが次々と出てきて280ダメージでは届かないケースが増える。こだわりベルトやおはらいグローブで打点を上げる工夫は必要だが、それでも押し切られる試合が多い対面だ。
ビッグパラソル——スターレクイエムを完全に封じる道具
スターレクイエムは相手のバトルポケモンを問答無用できぜつさせるVSTARパワーで、高HPのポケモンに対する切り札として機能する。しかしビッグパラソルをつけたポケモンはワザや特性による効果を受けない。
スターレクイエムの「きぜつさせる効果」はダメージではなく効果として処理されるため、ビッグパラソルで防がれる。アルセウスジュラルドンデッキなど、ビッグパラソルを採用している耐久型のデッキと対面すると、ギラティナ側はスターレクイエムという最大の切り札が機能しなくなる。
対処としてロストスイーパーでビッグパラソルを剥がしてからスターレクイエムを使う動きが有効だが、ロストスイーパーを温存する必要があるぶん他のロスト管理に影響が出る。
かがやくサーナイト——ロストインパクトの打点を20削る
かがやくサーナイトを採用することで、特性「じあいのヴェール」によって自分のポケモン全員が相手のポケモンVから受けるダメージを-20できる。ギラティナVSTARのワザ「ロストインパクト」はポケモンVのワザなので、これで受けるダメージを20減らせる。
ロストインパクト280から-20で260になる。HP280のVSTARポケモンはこれで一撃きぜつしなくなる。こだわりベルトを使えば280に戻るが、ギラティナ側がこだわりベルトを持っていないとき、ロストインパクトでの確定きぜつラインがずれて攻撃の計算が変わる。かがやくサーナイトを採用してくるミラー対策や防御意識の高いデッキとの対面では、打点計算を-20で見直す必要がある。
実戦での失敗談と成功体験
ロストゾーン9枚でジャッジマンをくらった試合
シティリーグの予選でロストゾーンを9枚積んで「次のターンはスターレクイエムが使える」と確信していたとき、相手が後攻のナンジャモを使ってきた。自分のサイドは相手より少ない、ナンジャモで引ける枚数は2枚。その2枚にミラージュゲートもキュワワーも来なかった。ロストゾーンは9枚のまま番を返した。相手はそのターンにギラティナVSTARを倒して2枚取り。次のターンにようやくスターレクイエムが使えたが、すでにサイド差がついていて逆転できなかった。
あの試合以来、ロストゾーンが8枚を超えた段階からキュワワーやかがやくゲッコウガを前に出さず、手札干渉への備えとしてエネルギーを事前にギラティナVSTAR以外にも分散させるようにした。
スターレクイエムをベンチに当てて勝った試合
うまくいった対戦もある。サーナイトexデッキと対面したとき、相手のバトル場にはHPが残り少ないサーナイトexがいた。しかしサイドを取ってサーナイトexを倒すより、カウンターキャッチャーでベンチのキルリアを呼び出してスターレクイエムを使う手を選んだ。キルリアが落ちて相手の進化ラインが崩れ、そのまま盤面を押し切れた。
スターレクイエムはバトル場に当てなければならないルールは特にない。ベンチポケモンに当てて盤面を壊すことが最大の仕事になる場面があって、そこを狙い打てるかどうかがこのデッキの実力を測るひとつの基準だと感じている。
ギラティナVSTAR側が持つ対処手段
ヤミラミのワザ「ロストマイン」はダメカン12個を相手のポケモンに好きなようにのせることができる。小回りの利かないギラティナVSTARとの相性や、苦手な非ルールポケモン対策として活躍する。
ギラティナVSTARが相性の悪い相手にも、メインアタッカーを前面に押し出した戦法だけでなく、器用な技を組み合わせることで対応できる場面がある。技を使う順番やダメージの割り振り方など少しのプレイの巧拙が勝敗に大きく影響するため、非常に使いがいがある。
非ルール相手にはヤミラミ、大型相手にはギラティナVSTAR、ベンチ狙撃にはかがやくゲッコウガ——複数のアタッカーを使い分けながら「今何が正解か」を毎ターン考え続けるデッキだ。その判断の精度が、このデッキの強さをそのまま決める。相性の悪いカードを理解することで、その判断の起点がより明確になる。50歳になった今でも、ギラティナVSTARを握るたびに頭をフル回転させながら試合を進める感覚が好きで、このデッキに触り続けている。

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