ロトムVSTARを大会で使い続けていると、特定の対面だけ急に「これ、どうやって勝つんだっけ」と立ち止まる瞬間がある。どうぐをロストゾーンに送れば送るほど打点が上がるシンプルな仕組みなのに、相手の動き一つで計算が全部狂う。頂への雪道が貼られてそくせきじゅうでんが止まった、ミミッキュが出てきてスクラップパルスが届かない、どうぐを使い果たしたときに限って大型が出てきた——そのたびに「このデッキの相性の悪いカードを徹底的に整理しよう」という気持ちになる。
ロトムVSTARデッキの弱点を生む構造
ロトムVSTARデッキはポケモンのどうぐを大量に採用しなければいけない性質上、手札事故が起こりやすい。手札事故が起こると何もできずに相手に番を返すことになり、一方的に不利になる。
本デッキにはエネルギー加速手段がキバナしかない。序盤にエネルギーをつけたロトムVを倒されてしまうと何も成せないまま負けてしまう。
弱点の構造は4軸になる。そくせきじゅうでんを封じてドローとエネルギー準備を止める、スクラップパルスが届かないポケモンで受ける、どうぐを枯渇させて終盤の火力を消す、HP250という低耐久を狙い撃つ——この4軸を突くカードが相性の悪いカードの核心だ。
頂への雪道——そくせきじゅうでんとへんかんスターを同時に止める
ドローとエネ準備の両方が止まる致命的な1枚
特性「そくせきじゅうでん」はロトムVの特性で、番が終わる代わりに山札から3枚引ける。次のターンに進化先やエネルギーなどを手札に加えられる可能性が高く、デッキ全体を安定させる特性だ。
ロトムVはVポケモンのためルールを持つ。頂への雪道が貼られるとそくせきじゅうでんが止まり、毎ターン3枚引いてどうぐを手札に集める動きができなくなる。ツールボックスでどうぐを7枚サーチする特性も同様に止まる。VSTARパワーのへんかんスターも特性扱いのため、使えなくなる。
この3つが同時に止まると、このデッキは一気に動きが細くなる。ドローがサポートのみに限られ、どうぐを集める手段も消え、手札を大量トラッシュしてリフレッシュする切り札まで使えない。その状態でジャッジマンが重なってくると、どうぐばかりが手に溜まった状態で何もできないターンが生まれる。
ロトムVSTARのデッキはポケモンのどうぐが多く手札に溜まりやすいため、頂への雪道+ジャッジマンのコンボは非常に有効な妨害手段になる。
スクラップパルスでスタジアムをロストゾーンに送る手段がこのデッキには存在しないため、頂への雪道への対処はロストスイーパーか自分のスタジアムでの上書きのみになる。それが手元にない状態で雪道が機能し続けると、まさにあの「どうぐが手に溜まって動けない」という最悪の状況が長続きする。
ミミッキュ——スクラップパルスが完全に遮断される
しんぴのまもりでexポケモンのワザが通らない
ミミッキュの特性「しんぴのまもり」はexとVのポケモンからのワザのダメージを受けない。ロトムVSTARはVSTARポケモンなので、スクラップパルスがミミッキュに一切通らない。どうぐをどれだけロストゾーンに送って高火力を準備しても、ミミッキュが出てきた瞬間にその計算が無意味になる。
ロトムVSTARのスクラップパルスはVSTARポケモンのワザで、ミミッキュのしんぴのまもりによってダメージが防がれる。
しかも、ロトムV自身もVポケモンなので、ロトムVのスクラップショットもミミッキュには通らない。デッキ内の全アタッカーがミミッキュに対して無力になる。ウッウのおとぼけスピットで対処する選択肢が現実的な突破手段になるが、ロトムVSTARデッキにウッウを採用しているかどうかは構築次第だ。
ポケモンリーグ本部——エネルギー要求が増えてワザが出せなくなる
ポケモンリーグ本部はたねポケモンのワザのエネルギー要求を1個増やす。ロトムVはたねポケモンなので直接影響を受ける。
エネルギー加速手段がキバナしかないため、序盤からエネルギー管理が重要になる。本部が貼られてエネルギー要求が増えると、学習装置と手張りで何とかしていた計算が崩れる。
ロトムVSTARもVSTARポケモンではあるがたねポケモンなので、本部の影響を受ける。スクラップパルスの2エネ要求が3エネになると、学習装置で引き継がれた1エネ+手張り1枚では足りなくなる場面が出てくる。キバナを使えれば2枚を一気につけられるが、キバナを引くために消耗するリソースも考慮に入れる必要がある。
ミカルゲ——そくせきじゅうでんをベンチから止める
ミカルゲとジェットエネルギーの組み合わせが対ロトムVSTARデッキへの有効な対策として推奨されている。ミカルゲはロトムVの特性を止められる。
ミカルゲの特性「しっこくのわざわい」はルール持ちポケモン全員の特性を封じる。ロトムVのそくせきじゅうでん、ツールボックス持ちのミュウのおとりよせも止まる。頂への雪道と効果は似ているが、スタジアムではないためロストスイーパーで剥がされない点が違う。
ミカルゲを処理しようとしてもロトムVSTAR自身はexポケモンで、ミカルゲはexポケモンのため倒されるとサイドを2枚取られる。プレッシャーをかけながら処理するために余分なリソースを使わされる点が、このカードの嫌らしさだ。
特性なしポケモンへの低打点——スクラップパルスの上限に阻まれる
スクラップパルスはトラッシュのどうぐをロストゾーンに送った枚数×40ダメージを素点80に加算する。しかしどうぐには枚数の上限がある。
序盤からどうぐをロストしすぎると後半に火力不足になる。終盤に相手がexやVSTARを出してきたときに必要な280ダメージを出せるかどうか、逆算してどうぐのロスト枚数を管理する意識が必要だ。こだわりベルトとボスの指令の残り枚数を把握しておくことが特に重要になる。
HP330の悪テラスタルリザードンexを倒すためには280以上が必要で、素点80から計算すると5枚のどうぐをロストゾーンに送れば280に届く計算になる。しかしデッキに入っているどうぐの総数は有限で、序盤に非ルールポケモン相手にどうぐを使い切ってしまうと、終盤の大型に届かないという事態が起きる。
この管理の難しさがロトムVSTARデッキ使いの永遠の課題で、非ルールポケモンと大型VSTARが混在する環境では「どのくらいどうぐを使っていいか」の判断が毎ターン問われる。
HP250の低耐久——ワンパン圏内に入りやすい
ロトムVSTARのHPは250で、多くのポケモンがこだわりベルト込みで280ラインを出してくる環境では、こだわりベルトなしでも一撃で倒されてしまうケースがある。
HP250は現環境のVSTARポケモンの中でも低い部類に入る。多くのアタッカーが220〜280ダメージを出せる中で、ロトムVSTARは一撃きぜつしやすい。倒されるとサイドを2枚取られ、次のロトムVSTARを用意するためのターンが必要になる。
ロトムVSTARには「災いの箱」を採用することでワンパンされた返しに相手ポケモンにダメカン8個を乗せられ、次のターンに倒しやすくなる。相手がダメカン8個を嫌ってワンパンを避けてくれれば、ロトムVSTARがもう一度攻撃できる。
災いの箱を活用してワンパンへの抑止力を持たせる工夫はあるが、それが引けない状況では対処できない。低耐久という弱点は構築で補うしかなく、耐久を上げるカードを採用するかどうかがデッキ構成の一つの判断になる。
非ルールポケモン主体のデッキ——サイドレースが歪む
ロトムVSTARはVSTARポケモンのため倒されるとサイドを2枚取られる。一方で非ルールポケモンを倒しても1枚しか取れない。この非対称な交換が積み重なると取り返せなくなる。
ウッウのおとぼけスピットで非エクポケモンを倒したり、相手の攻撃のクッションにして延命し、トラッシュにどうぐを貯めるターンの余裕が生まれることのほうが強い場面がある。
ウッウを採用している構成なら非ルールポケモンへの対処手段が増えるが、それはデッキ構成次第だ。非ルール主体のデッキと対面したとき、スクラップパルスを使いながらサイドを1枚ずつ取るしかない状況が続くと、どうぐの消費ペースに対してサイドの進みが遅くなる。
実戦での失敗談と成功体験
どうぐを使い果たして終盤に何もできなかった試合
シティリーグの予選で、序盤から相手のウッウやメッソンを倒していた試合がある。非ルールポケモンを倒すたびにどうぐをロストゾーンに送り続け、気持ちよく220〜240ダメージを出していた。しかし5ターン目に相手がリザードonexを完成させた。こちらのロストゾーンのどうぐはすでに大半が消費されていて、あとから計算したらスクラップパルスで200ダメージしか出せなかった。HP330のリザードonexを倒せないまま返した次のターンに、バーニングダーク250をもらってロトムVSTARが消えた。
「どうぐは大型のために温存する」という原則を、あの試合で骨身にしみた。序盤の相手が非ルールポケモンばかりだと、ついどうぐを使いすぎてしまう。それが後半に来る大型への火力を削ってしまう。
へんかんスターで一気に状況を打開した試合
うまくいった試合もある。サーナイトexと対面したとき、ツールボックスで大量にどうぐを手に集めてからへんかんスターを使った。手札の不要などうぐ9枚をトラッシュして9枚引き込み、その中にボスの指令とこだわりベルトが来た。次のターン、ロストゾーンのどうぐ5枚でスクラップパルスが280になり、こだわりベルトで310。サーナイトexをワンパンしてサイドを2枚取った。
どうぐを集めてからへんかんスターで捨てて一気にリフレッシュするあの爽快感は、このデッキだけの体験だ。その流れが決まったとき、ロトムVSTARというデッキの面白さが凝縮されている。
ロトムVSTAR側が持つ対処手段
頂への雪道への対処はロストスイーパーか自分のスタジアムで上書き。ミミッキュへの対処はウッウのおとぼけスピットか、採用しているなら非exの非ルールポケモンで対処。ミカルゲへの対処はボスの指令で呼び出して処理。HP250の低耐久は災いの箱で抑止力を持たせる——これらを構築に組み込んでおくかどうかが、ロトムVSTARを大会に持ち込む際の事前準備の核心になる。
ロトムVSTARデッキはポケモンのどうぐを大量に採用しなければいけない性質上、手札事故が起こりやすい。使うサポートはナンジャモや博士の研究といった手札を一気に入れ替えるカードがおすすめだ。
相性の悪いカードへの理解が深まるほど、「このカードが来たときにどうするか」という対処手段が先に頭に浮かぶようになる。50歳になった今も、このデッキの独特な手触り——どうぐの管理という要素がそのまま勝敗になる感覚——は、ポケカの中で唯一無二の面白さだと感じている。

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